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春に白~薄紫の小さな花を数珠なりに咲かせるフジ(藤)。藤棚から垂れ下がるフジ(藤)の花は、さながら、ブドウの房が花になったようなイメージです。
公園や庭園の藤棚のイメージが強く、個人で育てるのは難しそうに思えますが、網や柵を使って壁面仕立てにしたり、窓際に「逆L字形」になるよう誘引して鉢植えでも楽しめます。今回は、フジ(藤)の育て方をご紹介します。
フジを育てるには、水はけと水持ちが共によく、日当たりのよい場所が適しています。日陰では花が咲きません。また、開花に備え、つぼみをふくらませる3月頃に霜にあたると、つぼみを落としてしまいます。
地植えの場合は、ワラや腐葉土を敷き詰めてマルチングにて対応しましょう。鉢植えの場合、冬場は軒下や暖房のあたらない室内に移動させましょう。
地植えの場合、水はけと水持ちがよい場所であれば、特に水やりの必要はありません。自然の降雨に任せます。ただ、降雨がない日が続き、乾燥していたら、たっぷりと水やりをしましょう。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いていたら、たっぷりと水やりします。いずれの場合も、水切れしないように気を付けましょう。
フジ(藤)は肥沃な土を好みます。寒肥として2月頃に有機肥料を施し、花後~梅雨前の5月中旬~6月上旬の時期にも有機肥料を施しましょう。
水はけと水持ちが共によい用土が適しています。黒土に腐葉土をたっぷり混ぜ、川砂を加えるとよいでしょう。
こぶ病:枝や幹に、表面がざらざらして盛り上がった褐色や灰褐色のこぶを生じる病気です。梅雨などの過湿時に病原菌が繁殖しやすく発症します。こぶは徐々に成長し、フジの発育不良を招きます。なるべく早く、こぶと周辺部を切り取り、殺菌剤を散布しましょう。
うどんこ病:葉や茎にうどんこをまぶしたような白いカビが生える病気で、風通しが悪い環境で発症しやすいです。また、チッ素過多も発生しやすい原因となるため、肥料のバランスにも気を付けましょう。葉の表面をカビに覆われると、光合成ができなくなり、発育不良に陥ります。感染拡大を防ぐため、感染した葉は早めに取り除き、殺菌剤を散布してください。
アブラムシ:新芽や葉の裏に寄生し、汁液を吸います。また、病気を媒介する間接被害もあるため注意が必要です。一匹一匹は小さいですが、繁殖力が旺盛で、見過ごすわけにはいきません。殺虫剤を散布するなど、早めに対処しましょう。
ハダニ:葉の裏に寄生し、汁液を吸います。はじめは、葉に針で突いたような小さな点があらわれ、数が増えると、葉が白いカスリ状になり、発育不良に陥ってしまうため注意が必要です。早めに殺虫剤を散布して駆除しましょう。
カイガラムシ:葉や茎、枝に寄生し、汁液を吸います。発育不良に陥る直接被害の他、カイガラムシの糞が病気を誘発する間接被害もあるため、注意が必要です。見つけたら、早めに殺虫剤を散布して駆除しましょう。
ケムシ:ガやチョウの幼虫で様々なケムシがいます。主に葉を食害するため、見つけたら捕殺します。ドクガなどのケムシもいるため、くれぐれも素手で触らない、肌に付けないよう気を付けてください。
病気、害虫が心配なら、定期的に殺菌殺虫剤を散布して予防することをおすすめします。
フジは落葉期に植え付けますが、特に2月~4月頃が適しています。根が繊細な植物で、根が切れると花が咲かないこともあるため、根が切れないよう慎重に取り扱ってください。
地植えにする場合は、根鉢の倍くらいの幅、深さを目安に穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土、川砂を混ぜて植え付けます。
鉢植えにする場合は、黒土に腐葉土をたっぷり混ぜ、川砂を加えた用土を用いて植え付けましょう。
鉢植えの場合、植え替えが必要となります。ただし、大きすぎる鉢に植え替えると、根の成長は活発になっても花芽つきにくいことがあるため、必ず、ワンサイズ大きい鉢に植え替えましょう。
また、植え替えの頻度も2年に1度を目安にし、頻繁に植え替える必要はありません。植え付けと同様、くれぐれも根の取り扱いには注意して植え替えましょう。
フジの増やし方には、「種まき」、「挿し木」、「接ぎ木」といった方法があります。
9月~10月の時期に種を採取し、乾燥しないようすぐに種まきします。春頃に発芽し、本葉が3~4枚になったら、1本ずつ鉢上げしましょう。
春(3月~4月頃)または秋(9月頃)に挿し木します。充実した元気のよい枝を選び、15㎝程に切りましょう。切り口に発根促進剤をつけてから、挿し木してください。発根率が上がります。
種まきで2~3年育てたフジの苗を台木にして、接ぎ木します。手順は次の通りです。
①増やしたいフジ(藤)の若い枝をナイフなどで、切り口がきれいになるよう切り取ります。
②台木となる苗に切れ目を入れてください。
③ナイフで切った若い枝を、台木の切れ目に密着させて差し込みます。
④接ぎ木テープを若い枝と台木の接合部に巻き付け、しっかり固定しましょう。
フジ(藤)はツル性植物です。放置していると、ツルが伸び放題になり、葉が茂り、株の内側に日が当たりにくくなったり、風通しが悪くなり蒸れてしまいます。日が当たらなければ、花が咲きませんし、蒸れると病気にかかりやすくなってしまいます。
さらに、ツルばかり伸びて花芽が少なくなってしまうのです。このため、剪定しておく必要があります。
花後に行う剪定です。花後は、葉が茂り混みあってきます。風通しと、日当たりをよくするために、混みあっている箇所の不要な枝を、枝の分かれ目から切ったり、伸びすぎた枝の先端を適当な長さに切り詰めましょう。
落葉後に行う剪定です。この時期なら花芽と葉芽を見分けられます。花芽がふっくらと丸みのある形をしているのに対し、葉芽はシュッとしているので、簡単に見分けることができるでしょう。花芽が付いていない不要な枝や枯れ枝などを切ります。できるだけ花芽を多く残しましょう。
大きく分けて、フジ(藤)には2種類あり、ノダフジと、ヤマフジに分かれます。ツルの巻き方が反対で、ノダフジが右巻きなのに対し、ヤマフジは左巻きです。これならすぐに見分けられますね。
ノダフジ:一般的にフジ(藤)と呼ばれる品種で、ツルは右巻きです。
ヤマフジ:本州西部や四国、九州の山に自生する品種で、ツルは左巻きです。
ノダナガフジ:花房が長いのが特徴の品種で、六尺フジとも呼ばれています。
アケボノフジ:白花品種なのですが、つぼみは淡紅色で、花が開くと花弁の先が淡紅色になるため、口紅フジとも呼ばれています。
アカバナフジ:桃色フジとも呼ばれている、淡い紅色の品種です。
シロバナフジ:その名の通り白い花を咲かせる品種です。
ヤエフジ:、八重黒竜とも呼ばれている八重咲きの品種。花の色は濃い紫色です。
フジの花言葉には、「優しさ」、「歓迎」、「決して離れない」、「恋に酔う」、「忠実」などの意味があります。
フジ(藤)の育て方や増やし方などについてご紹介しました。公園や庭園などの藤棚のイメージが強く、優雅で美しいフジ(藤)をご家庭で楽しむのは難しい気がしますが、実は、フジ(藤)の花をご家庭でも楽しむことができます。
もちろん、小さくても藤棚を用意すれば、立派になりますが、網や柵を使って壁面仕立てにしたり、窓際に這わせたり、鉢植えでも育てることができるのです。
優雅で美しいフジ(藤)の花をお宅の庭にも咲かせてみませんか?
※トップ画像はtakosyaさん@GreenSnap
GreenSnap編集部