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存在感のある豪華で美しい花が人気の宿根草、シャクヤク(英名:peony)。暑さや寒さに強く、比較的丈夫で育てやすい植物です。アジア原産ですが、欧米でも品種改良をしながら広く親しまれてきました。
また、シャクヤクは観賞用としてだけでなく、古くから薬草として用いられてきました。乾燥させた根が生薬として、さまざまな漢方薬に使われているんですよ。切り花としても人気です。
今回は、シャクヤクの育て方のコツと種類、花言葉などについてお伝えしていきます。シャクヤクの苗は春に出回るので、ぜひ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
シャクヤクは日当たりと風通しの良い屋外で管理します。
日のよく当たる場所が最適ですが、明るい半日陰でも育てることができます。西日が遮られる場所だとなお良いです。
シャクヤクを鉢植えで育てる場合、雨や風の強い日は軒下に移動させてあげましょう。
シャクヤクは乾燥に弱いので、水切れには注意してください。表面の土が乾き始めたら、たっぷりと水をやりましょう。
特に、夏季は土が乾いたら早めに水やりすることを心掛けてください。地植えの場合は特に水やりの必要はありませんが、真夏に極度の乾燥が続いた場合は水をあげるようにしましょう。
また、シャクヤクの植え付け直後は根が動き出す時期なので、カラカラに乾燥させないよう注意してください。
シャクヤクは肥料を好みます。花付きをよくするためにも、元肥・追肥ともにしっかりと与えましょう。
シャクヤクの植え付け時には、元肥として有機質肥料を充分に与えます。堆肥などが適しています。追肥は、花後のお礼肥と秋の追肥に2回、緩効性の化成肥料を施してください。
このほかに、冬季の寒肥として、有機質の固形肥料を与えてもよいです。
シャクヤクを育てるときは、水はけのよい有機質の多い肥沃な土を用いましょう。赤玉土4:鹿沼土4:腐葉土2くらいが理想です。
シャクヤクを栽培するときは、うどんこ病、灰色かび病などの病気とアブラムシ・ヨトウムシなどの害虫に注意します。
これらの病害虫が発生したら、薬剤散布、風通し・日当たりをよくするなど環境改善で対処してくださいね。発生初期なら、一つひとつ手で取り除いてもよいです。
シャクヤクの苗が出回るのは、3月から5月です。ポット苗で多くの品種が出回るので、気に入ったものを選んでみてください。
シャクヤクの植え付け時期は、4月から5月か、9月から10月頃が適期です。
シャクヤクは太い根がしっかりと張るので、鉢植えで育てる場合は8号以上の鉢を使用しましょう。地植えで育てる場合も、根が太いことや大きな葉が茂ることを考えて、余裕をもったスペースに植え付けてあげてください。
シャクヤクの植え替え時期も、4月から5月か、9月から10月頃が適期です。
シャクヤクを鉢植えしている場合は、根詰まりを防ぐため2~3年に1度は植え替えます。植え付け時の元肥に、堆肥などの有機質肥料をしっかりと施すことを忘れないようにしましょう。
うまくシャクヤクを増やすには、3年ごとを目安に秋に株分けして植え替えるとよいでしょう。地下部の生長がはじまる9月から10月が、株分けの適期となっています。
3~5芽くらいの株に分け、葉は半分ほどに切り詰めておきます。この時、根はあまり傷つけないよう気を付けてください
。株分けは、株を増やす目的だけでなく、大きくなった株を若返らせることにもなります。鉢植えで2~3年育てた株は、植え替え時に株分け作業も行うのがおすすめです。
シャクヤクの花付きを良くし、美しい花を楽しむために手入れは怠らないようにしましょう。
開花後の花がらは、花茎の部分から早めに切り取ってあげます。シャクヤクは種ができると株が消耗してしまいます。また、枯れた花をそのままにしておくと、風通しが悪くなり病害虫発生の原因にもなりかねません。
茎1本に対し複数のつぼみがつきますが、頂点の大きなつぼみだけ残して、そのほかは摘み取ります。わきの蕾をそのままにしておくと、花が小さくなったり咲かないものも出てきます。大きく立派なシャクヤクの花を咲かせるためにも、摘蕾を行ってください。
シャクヤクの草丈が高い品種は、風雨で茎が倒れるのを防止するため支柱を立てます。園芸用の支柱で問題ありません。
シャクヤクは、冬季に地上部の葉や茎が枯れます。10月頃になったら、枯れた部分を根元から刈り取ってあげましょう。
シャクヤクは、美人のたとえとして「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という表現が昔から使われていることからも、その花姿の美しさがうかがえます。一度苗を植え付ければ、毎年5月から6月に花を楽しむことができます。
また、シャクヤクの花は切り花としても親しまれています。切り花にする際は、開花後ではなく蕾がふくらんで花びらがのぞき始めたころに切り取ります。このとき、株元に2枚ほど葉を残してあげると株が消耗しません。
シャクヤクの花言葉は、「内気、はにかみ」「恥ずかしさ」「美しさが気に入り、生まれながらの素質がこころを奪う」です。
「内気、はにかみ」と「恥ずかしさ」は、英語の常套句で「シャクヤクのように顔を赤らめる(blush like a peony)」という表現があり、これが由来だといわれています。
また、「美しさが気に入り、生まれながらの素質がこころを奪う」はフランスにおけるシャクヤクの花言葉。フランスでは、シャクヤクを「聖母のバラ」(ローズ・ド・ノートルダム)と呼んでいることが関係して、この花言葉がつけられました。
このように、ヨーロッパではたびたび美しい花のことを「バラ」と表現することがあります。イタリアやスペインでは、シャクヤクのことを「山のバラ」と呼んでいるんですよ。
豪華な花姿が特徴のシャクヤクは、切り花、鉢植え、地植えなどさまざまな用途で楽しまれています。
シャクヤクを育てる際のポイントは、用土の乾燥に気を付けることと、美しい花を楽しむために肥料を適切に施すこと。日当たりと風通しのよい環境で、美しいシャクヤクの花を咲かせてくださいね。
※トップ画像はてんちゃんこさん@GreenSnap
GreenSnap編集部