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シクラメンは冬の室内を華やかにしてくれる鉢花として定番の球根植物です。室内であれば初心者でも育てやすく、きちんと育てればじつは毎年の開花も楽しめるので、正しい育て方で管理しましょう!
この記事では非耐寒性の室内鉢花用のシクラメンの育て方をご紹介していきます。
耐寒性の高いガーデンシクラメンと非耐寒性のシクラメンは育て方が異なるので注意!ガーデンシクラメンの育て方はこちらの記事を参考にしてくださいね。
シクラメンは強すぎない日光を好みます。春、秋はカーテン越しに日光を当てて、冬は日中日光に当てて育てます。
ただし日本の高温多湿な環境には弱く、5月頃から生長が鈍って休眠状態に入ります。
夏越しは9月上旬まで休眠させる方法と、休眠させない方法があります。
休眠させるときは、日光の当たり具合にはこだわらず、日陰で管理します。休眠させない場合は、半日陰になるようにします。
この3つのポイントを押さえて育ててくださいね。
シクラメンは、基本的に鉢植えにして室内で育てます。5℃までの寒さに耐えますが、比較的暑さにも寒さにも弱い植物だということを覚えておきましょう。
特に霜に当たると株が傷み、すぐに枯れてしまいます。それでも室外に置きたいときは、軒下などの雨や霜が防げる場所に置きましょう。
置く場所は夏を除いて日光が当たる場所か、一年を通して涼しい場所を選んでください。
日当たりで置き場所を選ぶなら、春や秋はカーテン越しに日光を当たる場所に、冬は日中は窓際で日光に当てて、夜間や早朝は窓から離して冷気から守るように移動させます。
そして休眠に入る夏〜初秋は半日陰か、休眠させる場合は涼しい日陰で育てます。
冬の置き場所で気を付けたい点が、20℃を超える環境でもシクラメンが弱ってしまうということです。
シクラメンは人間が快適に感じる温度より低い気温を好むため、暖房が効いたリビングよりも玄関や廊下に置く方が育ちます。冷暖房の乾燥した空気に当てるのも、生育上好ましくありません。
もし鑑賞目的で育てるなら、日当たりよりも、温度を優先すると長く楽しめますよ。
じつはシクラメンの水やりは、他の草花と同じように、株全体にあげているとうまく育ちません。
シクラメンの水やりの正しい方法は、下側の葉をかき分けて株元(土)のみにあげることです。花や球根の上部分に水がつくと痛むので、雨は仕方ないですが、要注意です。
ちなみにシクラメンのような球根植物は、根自体が細いので、水やりをしすぎると根腐れを起こしてしまうので、乾燥気味に育てるのがポイントです。
水やりの目安は、軽く葉全体を手のひらで押して、戻りが弱いような、ハリがない状態になったらが目安です。表土の乾き具合だけで判断するのは正確ではないので注意しましょう。
シクラメンを休眠させるか、させないかで夏の水やりが変わってきます。
休眠させる場合は一切水を与えません。新しい花芽が出なくなってから、休眠の準備をします。徐々に与える水を少なくし、6月に入るか葉が黄色くなってきたら完全に水を断ってください。そして雨が当たらない涼しくて風通しの良い日陰に移動させます。
もし休眠させずに夏越しをするなら、水やりは、やや乾燥気味に行って風通しの良い半日陰か、日陰で育てます。
非休眠法の方が難しいので、もし開花を早めたいというわけでなければ、できるだけ夏は休眠させましょう。
シクラメンを鉢植えで購入すると、底面給水鉢という鉢に最初から植えてあることが多くあります。
これは下の皿に水を入れ、中にあるヒモやスポンジを伝って適量の水が植物に吸い上げられる仕組みです。
シクラメンは冬に育つので、受け皿の水が途切れないように水を与えてくださいね。時々、土の上から水を与えると肥料が行き渡りやすくなります。
底面給水鉢以外の鉢で育てるなら、土が乾いたら水をしっかりと与えます。シクラメンは水を好むので、底面給水鉢と比べて水やりが大変かもしれません。
上から水を与えるときは、土から出ている球根部分に水がかからないように注意しましょう。球根は湿気に弱く、何度も水がかかると傷んでしまいます。
葉や花に直接水をかけるのも良くないので、手で葉を避けて水やりをしたり、先の長いジョウロを使うと安心です。
また、冬の乾燥した時期には、軽く葉水を行っても良いでしょう。防虫効果も期待できます。
シクラメンの肥料は化成肥料か液体肥料を使います。2ヶ月に1回くらいの間隔で化成肥料は土の表面に施してうださい。
普通の鉢植えの場合、週に1回ほど薄めた液体肥料を与えても。底面給水鉢なら、受け皿に液体肥料を薄めて入れます。
肥料は休眠期を除く9月〜翌年の5月にかけて与えましょう。
シクラメンの用土は、水はけと通気性の良いものを選びます。初心者ならシクラメン専用の培養土も市販されているので、それを使いましょう。
自分で配合する場合、組み合わせは複数あります。
保水性を第一に考えるなら、赤玉小粒と腐葉土とピートモスを5:3:2で混ぜて肥料を加えます。
底面給水鉢で育てるなら、赤玉土と腐葉土と粉状のパーライトを6:3:1で混ぜるのがおすすめです。
砕いたパーライトが吸い上げられた水や養分を、すみずみまで行き渡らせてくれます。
こちらの場合も化成肥料を混ぜておきましょう。
シクラメン専用の培養土に粉状のパーライトを9:1で混ぜると、手軽にブレンドできます。
シクラメンの植え替えは8月下旬から9月に行います。休眠させた場合は、古い鉢から抜くとき、そこまで慎重にならなくて大丈夫です。既に株も根も休眠によって死んでいるからです。古い土を全て落として、根も半分くらい切ってしまいましょう。
逆に休眠させなかった場合はダメージを与えないように、細心の注意を払わなければなりません。水で丁寧に土を落としたり、木の棒で古い土をある程度落とします。
植え替えは球根のてっぺんが埋まらないように植えます。だいたい球根の半分から3分の1が埋まる程度にしましょう。
種蒔きで発芽させることもできますが、成功率は高くなく、時間もかかります。
花を楽しみたい方のために、葉組みというお手入れ方法をご紹介します。
じつはシクラメンの花は球根の上部にちゃんと日光を当てないと、咲きません。なので葉が生い茂る10月頃から、葉組みという手入れをしましょう。手順を説明します。
まず新しい芽が中心になるように、育った中央の葉を外側に引っ張り、蕾も中央に寄せます。古い葉は外や下の方に、新しい芽は中央や古い葉より上になるように、調整して下さい。
風通しを良くしておくのがコツです。1〜2ヶ月に1回、この葉組みをすると花が綺麗に咲きますよ。病害虫の被害もへらせて、花が中心に集まった美しい株姿を楽しめるようになります。
シクラメンは球根の植物ですが、分球で増やすことはできません。種を採取して増やすことなら可能です。
ただし、発芽しにくい上に時間がかかります。しかし運が良ければ成功するので、シクラメンを育てているならチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
花が落ちた後に丸い実が出てきたら、半年ほど待って色が黄色く熟したら実を取って下さい。
中に種が入っています。秋に種を撒き15℃くらいの室温で育てると、数ヶ月くらいで発芽することがあります。
土を乾燥させてしまうと発芽しないので、底から水を与えたら黒いビニールで覆い、日陰で管理します。
発芽後も葉が増えてくるまでに2〜3ヶ月かかり、15ヶ月ほどで花を咲かせます。
ただし受粉は株にかける負担が大きく夏越えの失敗にもつながるため、シクラメンを長く楽しむなら種子の作り過ぎは禁物です。
枯れた花や葉を放置すると、灰色かび病という病気にかかりやすくなります。
しおれた花は指で根本からひねって抜きましょう。風通しの悪い場所に置くのも良くありません。
害虫はアブラムシ、ハダニに注意が必要です。
アブラムシは数が少なければ粘着テープで取り除き、多ければシクラメンが指定品種に入っている薬剤を使いましょう。
ハダニは乾燥しすぎると発生し、蜘蛛の巣のようなものを植物にかけます。
アブラムシと同様に数が少ない内は粘着テープで除去が可能です。増え過ぎたら薬剤で駆除しましょう。
シクラメンの管理温度は5〜15℃が目安です。
人間が普段過ごしている18〜25℃くらいの環境では、たちまち元気を失ってしまいます。
寒すぎず、暖かすぎない温度で管理するのが理想です。
ですが、冷暖房の空気は乾燥していて、植物を育てるのには向いていません。
玄関や廊下など、霜に当たったり凍結の心配がなく、人間にとっては寒いと感じる場所で育てましょう。
温度が極端に変化する場所も、植物にとって良くありません。
昼は窓際、夜は窓から離すなどの工夫をして、極端に温度が変わらないように工夫をしてあげてください。
シクラメンといえば、うつむき気味で花びらを上に反らせた花が咲くという特徴がありますが、これには意味があります。
シクラメンは雨季と乾季がある地域が原産の植物です。雨季は雨に当たる時間が長くなるので、花粉が流れないようにあのような形になったのです。
さて、シクラメンの花は品種によって形が違います。
花びらが反り返っているパーシカム咲き。
10枚の花びらがゴージャスな印象を与える八重咲き。
フリルのように、花びらの端にウェーブがかかっているロココ咲き。
花びらの縁がギザギザとしているフリンジ咲きといったものがオーソドックスです。
他にはトサカのような花びらが飛び出ている、クリスタータという珍しいものや、通称トンボと呼ばれる大きくうつむいた花を咲かせる品種も。
花の色は品種によって異なりますが、赤、ピンク、白、黄、紫と色の種類も豊富です。
シクラメンの花言葉は色によって異なりますが、中でも代表的なのが「内気」「はにかみ」「嫉妬」です。
内気はシクラメンがうつむいている様子から付けられました。
「遠慮」や「気後れ」といった花言葉も、シクラメンの姿にちなんで付けられています。
「嫉妬」は赤いシクラメンの花言葉で、反り返った花びらが炎に見えることが由来しています。
ピンクは「憧れ」で白は「純潔」と、色によって花言葉が違うのも特徴ですね。
誰かにプレゼントするときは、色ごとの花言葉も意識して選ぶと良いでしょう。
それと、シクラメンの名前には「死」と「苦」を連想する忌み言葉が含まれていること、
そして鉢植えで売られていることが多いので、病院のお見舞いとしてはタブー視される傾向があります。
花言葉と合わせて、注意しましょう。
シクラメンの育て方や性質など、基本的な情報をご紹介しました。温度管理が難しいと感じるかもしれませんが、適温を把握していれば大丈夫です。ミニシクラメンのように、寒さに強い品種もありますよ。
毎年新しい品種が出てくる植物なので、もし園芸店などで見かけたらどんな種類があるのかチェックしてみてください。
GreenSnap編集部