warning
error
success
information
冬から春にかけて、庭の片隅で美しく咲くクリスマスローズ。寒さに強く、ガーデニング初心者の方でも簡単に育てられますよ。
今回はクリスマスローズの苗と開花時期の関係性、鉢植え・地植え別での育て方についてご紹介します。
クリスマスローズの開花時期はおよそ2月〜3月下旬ごろです。花の名前からクリスマスの12月ごろに咲くと勘違いされることが多いですが、一般的には晩冬から早春に咲き始めます。
ただし、入手した苗によっては開花時期が異なることもあります。さらには品種によっても開花時期が異なるので、冬になっても花が咲かないと杞憂する前に、よく確認してから育てましょう。
まず、クリスマスローズは種まきから3年以上経過しないと花が咲きません(3年生株以上)。そのため市場には下記のような名称で出回っており、入手した苗によっては開花時期が異なります。
苗の名称 | 特徴 | 開花時期 | 出周りサイズ |
開花株 | 花が咲いた状態で出回る苗。すぐに開花が楽しめる。 | 12月〜2月 | 5号〜6号 |
開花見込み株 | 開花する見込みのある苗。翌年1〜3月に咲く見込み。 | 11月〜2月 | 4号〜6号 |
ポット苗 | 1年生もしくは2年生の未成熟の苗。1〜2年育ててから咲く。 | 10月〜3月 | 3号〜4号 |
クリスマスローズには大きく2系統の種類があります。この2つの系統は開花時期が異なるので、咲かせたい時期によって選んだり、もしくは花が咲かないと思ったときは品種を確認してみるといいですよ。
系統 | 開花時期 | 花色 | 特徴 |
ニゲル種(ノイガー) | 冬咲き:12〜2月 | 白から咲き進むと淡いピンクへ | クリスマスローズの名前の由来となった原種のひとつ。やや上向きに開花する |
ハイブリット種(オリエンタリス) | 春咲き:2〜3月 | 白、緑、ピンク、茶など豊富 | さまざまな交配を経て生み出された園芸品種。うつむいたような下向きに開花する。 |
園芸店でクリスマスローズという名前で売られているのは、そのほとんどがハイブリット種です。ニゲル種は学名であるヘレボルス・ニゲルという名前で出回ることもあります。
クリスマスローズを選ぶときは、品種や年数以外にも、その苗が実生苗なのかメリクロン苗なのかどうかを確認しておくといいです。
クリスマスローズは種から育てるとまったく同じ花は咲きません。ニュアンスカラーが美しい花や、ダブル(八重咲き)の花が生まれる可能性もあり、それが魅力のひとつでもあります。
ただ、もし希望する花色や咲き方が決まっているのであれば、花姿がわかる実生苗の開花株を選ぶか、メリクロン苗を選ぶといいですよ。
誤って軟弱な苗を選ばないよう、クリスマスローズの苗を入手するときは、下記の5つのポイントに注意して選びましょう。
葉が少ないものを選ぶようには書きましたが、交配品種の系統によってはもともと葉が多くなるものもあります。傾向としてはダブル(八重咲き)は葉が多く、シングル(一重咲き)だと少なくなるようです。
そのため、葉の枚数を比べるときは咲き方や品種系統が同じものを見比べるといいですよ。
クリスマスローズの苗を植える時期は、10月から11月に行うのがおすすめです。寒冷地であれば3月ごろでもいいでしょう。
ポット苗の場合は10月ごろから出回るので入手したら11月までに植えましょう。まだ苗が未熟なので11月下旬までには植え替えして、冬を越す体力を養ってあげます。
開花見込み株や開花株の場合は、出回る時期が12月にずれ込むことがあるので植え替え適期からずれますが、入手したらなるべく早く植え替えましょう。もしくは開花が終わるまでそのまま育てて、3月ごろに植え替えしても問題ありません。
クリスマスローズを鉢植えで育てるときは、なるべく通気性のいい素材のものを選びましょう。素焼き鉢やテラコッタ素材のものか、スリット鉢がおすすめです。
またクリスマスローズは根を深く張る植物なので、鉢の高さが30cmほどある深型タイプのものを用意してください。
鉢の大きさはもともと埋まっていた鉢より2号(口径6cm)ほど上のサイズのものにしましょう。たとえば3号サイズのポット苗なら5号の鉢を。6号サイズの開花苗なら8号サイズの鉢を用意するといいです。
クリスマスローズは排水性と通気性のいい土を好みます。初心者は市販にもある「クリスマスローズの土(培養土)」を選ぶといいですよ。
市販の草花用培養土を使いたい場合は、排水性をあげるためにも2割ほど川砂か軽石小粒を混ぜてあげるとよく育つようになります。
もし一から配合したい場合は、赤玉土小粒5:腐葉土3:軽石小粒2の割合で混ぜて、元肥として緩効性肥料を規定量混ぜておきましょう。
詳しいやり方はこちらの記事を参考にしてみてください。
クリスマスローズを植えた後、秋から冬の間や開花シーズンは直射日光を避けた日当たりのいい場所か、明るい日陰ほどの場所におきましょう。
夜間などの冷え込む時間帯には、玄関先などに入れておくのもいいです。
クリスマスローズは暑さや強い日光に弱いので、春から夏にかけては軒下や樹木の下などの日陰におくようにしてください。また、風通しのよさも大切です。
夏場であまりに日差しが強い時期は室内で管理するのもいいでしょう。この場合は、窓際などの風通しのいい場所に置いてください。
秋には土が乾燥したら水やりを行なうようにしましょう。土が濡れていたり湿っているのであればまだ水やりはしなくていいです。
冬場の水やりは午前中に行なうこと心がけましょう。午後に水をやってしまうと土に残っている水分が夜から朝の冷えで霜柱になり、株自身を傷めてしまうことがあるからです。
クリスマスローズ春の終わりごろから気温が高くなると休眠期に入ります。休眠中はそこまで水も必要ないので乾燥気味に育ててください。だいたい鉢土が乾いてから5日後に水やりするイメージです。
ただし、乾燥を好むからといっても水やりの量を減らしてはいけません。頻度は控えめにしますが、量は必ず鉢底から流れ出るまでたっぷり与えてください。
クリスマスローズを地植えで育てるときに大切なのが場所選びです。とくに下記のような場所に植えないと冬越し・夏越しができなくなるので、慎重に選びましょう。
たとえば落葉樹の足元に植えると、夏場は日差しを防いでくれて、冬場は日が当たるといった調整ができるのでおすすめです。とくに木立生のバラの足元に植えると、通年花が楽しめるのでいいですよ。
クリスマスローズを植える場所を決めたら、苗よりもひとまわり大きな植え穴を掘りましょう。
3〜4号のポット苗であれば30cm四方。5〜6号の開花株・見込み株であれば50cm四方を目安に、深めに掘り上げてください。
複数植える場合は、大きく育つことえお見越して40〜50cmほどの間隔をあけておくといいです。根を広範囲に伸ばすので近すぎるとよく育ちません。
腐葉土もしくは牛糞堆肥を、30cm四方であれば3kg、50cm四方であれば5kgほど植え穴の底に入れ、さらに規定量の緩効性肥料を混ぜましょう。
ポットから苗を取り出して根鉢(根と土のかたまり)の下の方を1/3ほどほぐし、鉢の真ん中において植えていきましょう。
なお、開花株などのもとから鉢植えされていた苗は、中に底石が混ざっている可能性があります。もし混ざっていたら根の生育の邪魔になってしまうので取り除いてから植えましょう。
片手で苗を持ち、地面と水平になるような位置で支えておきましょう。その隙間に庭土を埋め戻していきます。スコップや割り箸を使いながら、土がしっかりと詰まるように埋め戻します。
最終的には根鉢の肩と地面が水平になる位置で植えましょう。軽く手で土を押さえて、土と根を密着させます。
苗を植えられたら、たっぷりと水やりをしましょう。根の先まで水が染み込むようなイメージで水やりするといいです。なお、水やりした後に株周りの土が減ったら、庭土を少し足しておきましょう。
クリスマスローズを植えた直後は2週間ほどは3〜4日に1回のペースで水やりをしましょう。2週間ほどすれば根が伸びて活着するので、そのあとは基本的に水やりする必要はありません。
ただし半月ほど雨が降らず、土が乾燥しきっているのであれば水やりをしてください。
クリスマスローズに肥料を与える時期は9月下旬〜翌年5月上旬までです。
肌寒いくらいの気温になると、クリスマスローズは生育期といって活動が活発になるので、この頃から追肥を始めましょう。
また10月や11月に苗を植えたばかりの場合は、植え付けのときに元肥として緩効性肥料を与えているので、1〜2ヶ月後から追肥を始めるといいでしょう。
初心者の場合は、草花用肥料やクリスマスローズ専用の肥料を使うといいでしょう。そのほかにも緩効性の化成肥料も使えます。
緩効性化成肥料にもいろいろ種類があり、とくに製品表示をみてみると窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)の比率が書かれています。それぞれ窒素は茎や葉に、リン酸は花やつぼみに、カリは根や株全体の生育に効果があります。
細かく考えたい人は、育てている株に合わせて下記の比率の肥料を使うといいですよ。
肥料を与えるときは、土の上に規定量の肥料をおく、置き肥という方法で追肥します。肥料を置く位置は、根が広がっていると思われる真上の部分です。
鉢植えであれば鉢の内壁にそって、地植えであれば株の中心から半径30chほどの位置にドーナツ状にまきましょう。株の根元や中心部ある根は栄養分を吸う力が弱いので、土に伸びている根の先端に栄養が届くように置くといいです。
頻度は9月下旬〜翌年5月上旬の間、固形肥料の置き肥であれば1〜2ヶ月に1回ほどでかまいません。
鉢植えの場合は液体肥料で追肥するのも効果的です。液体肥料の場合は期間中10日に1回を目安に、水やりの代わりに与えましょう。
クリスマスローズの開花を楽しんだ後、花が終わったら花茎やいたんだ花弁を切って取り除きましょう。こうすることで種子の形成に使われるはずだったエネルギーを次の開花や夏越しのために使えます。
また秋ごろには前年からある古い葉を切っておくと、次のシーズンに美しい花を咲かせてくれます。
詳しい方法はこちらの記事で紹介しているので、チェックしてみてください。
クリスマスローズの増やし方は「種まき」か、植え替えと一緒に行う「株分け」がおすすめです。挿し木や挿し芽はでは増やせません。
とはいえ、クリスマスローズの場合はこぼれ種で増えることもあるので、長期的の育てると自然と新しい株が親株の近くにできていたりします。
なお、クリスマスローズは種まきで増やしても全く同じ花姿のものは増やせません。元の株とは違った花色のものが咲いて、ひとつひとつ個性のある花が咲きますよ。同じ花姿のものを増やしたい場合は株分けをするといいです。
クリスマスローズがかかりやすい病気や害虫にはブラックデスや灰色カビ病といったものがあります。
ブラックデスは株の様々な場所に掠れたような黒い斑点ができる病気です。最終的には株が縮れてしまい、枯れてしまいます。感染力の強い病気なので、罹ってしまった株は処分しなければいけません。
このブラックデスはウイルス性の病気なので、ハサミから感染することもあります。古葉取りや剪定等でハサミを使用して手入れを行う場合には、1株ごとにハサミを消毒しましょう。作業に関しては清潔さ心がけるようにしましょう。
灰色カビ病は、春や秋などの湿潤な気候の際に起こりやすい病気です。葉の縁の部分や葉先が茶色く変色し、じゅくじゅくとした質感になります。この病状がクリスマスローズの株に広がっていくと、株自体が腐敗して枯れてしまいます。
定期的に殺菌剤等を散布し、病気の予防を行いましょう。
クリスマスローズ はハダニやヨトウムシなどの害虫の標的になる場合もあります。
ハダニは気温が高い場所や乾燥している場所に発生する害虫で、温かい時期にかかりやすい害虫なので注意しましょう。クリスマスローズの葉から栄養を吸収し、弱らせてしまいます。被害が大きくなると光合成不足や生長不良に繋がります。
またヨトウムシも年に2回ほど発生する可能性があります。ヨトウガの幼虫であるヨトウムシは、昼間の間は土の中に隠れていますが夜になると出てきて活動し、葉や茎の部分を食害します。葉の裏側に産卵するので、孵化する前に葉を取り除いておく必要があります。
クリスマスローズの育て方や、生育のコツを紹介しました。
冬型の植物の中でも比較的育てやすく、難しくないということで知られているクリスマスローズですが、水はけや日当たりには注意しながら育てていかなければなりません。
また長期的に育てるのであれば、クリスマスローズの毒性も理解しておきましょう。クリスマスローズには全体に毒があり、茎や葉の汁が皮膚に触れるとかぶれや炎症を起こすことがあります。
死ぬことはありませんが、手入れの際には必ず手袋をするようにしましょう。また根の部分には、へれブリンという毒性分があります。これには心臓の動きを収縮させる力があるので注意してください。
GreenSnap編集部