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ナデシコ(なでしこ・撫子・ダイアンサス)は、秋の七草のひとつとして知られ、「なでしこジャパン」など日本では女性を例える花としても有名です。万葉集などでも多く歌に詠まれてきたように、日本では古来から親しまれてきた花でもあります。
今回はそんなナデシコの育て方をご紹介します。
日当たりを好むナデシコは、明るい場所に置いてあげることで強く育ってくれます。日本でも河原や山野などでも数多く自生していますが、日当たりの良い場所に集まっていることが多い植物です。
年中を通して、半日以上は日が当たる明るい場所で育ててあげましょう。ただし真夏の強すぎる日差しの下では枯れてしまうこともあるため、遮光するなど工夫をしてあげた方がいいでしょう。
ナデシコは、風通しの良い場所で蒸れないように管理してあげるといいでしょう。高温多湿に弱いため、少し乾燥気味の環境の方が生育しやすい植物です。
一方、寒さには比較的強いのですが、霜に何度も当たると葉が痛んで枯れてしまうことがあります。冬などの寒い時期は霜よけを用意するか、軒下に移動してあげるといいでしょう。
暖かい室内ではうまく生育せず、花が咲かないこともあるので、一年を通してできるだけ室外で育てるようにしましょう。
ナデシコは乾燥気味の環境を好む植物なので、水やりは土の表面がしっかり乾いてから与えるようにしましょう。水のやり過ぎは根腐れの原因にるので注意してください。
土の表面が少し白っぽくなったら、1日から2日ほど間隔を空けてから水を与えるようにします。気温が高く、日差しの強い昼間の水やりは根を痛めやすいので、朝もしくは夕方に水やりするのがいいでしょう。
また、葉に水がかかると周りが蒸れやすくなるので、水やりをするときはなるべく根元の土に注ぐようにして与えましょう。
特に夏の時期はナデシコが苦手な高温多湿の環境になりやすく、弱ってしまうことが多いので気をつける必要があります。
冬の水やりも夏と同じように、土が乾いたのを確認してから与えるようにしてください。冬は水の蒸発量が減るため、少し控えめの量で充分でしょう。
元肥には、緩行性の肥料を用土のなかに混ぜ込んであげます。
追肥はナデシコが成長期の時期に行い、固形肥料の場合は月に1回、液体肥料の場合は週に1回程度施してあげましょう。
肥料はリン酸、カリウム分が多いものが適しています。
四季咲きのナデシコ品種の場合、肥料切れによって花つきが悪くなることがあるので、回数を増やすなどして管理しましょう。
ナデシコを栽培する土は有機質が豊富で、水はけの良いものを選ぶようにしましょう。市販の草花用の培養土で問題ありません。
自分でブレンドをする場合は、赤玉土が6に対して、腐葉土と川砂をそれぞれ2の割合で混ぜ合わせ、少量の石灰を入れるといいでしょう。
ナデシコは生育旺盛で成長速度も早いため、鉢植えでナデシコを育てる場合は、すぐに根づまりを起こさないように二回りほど大きめの鉢に入れるといいでしょう。
ナデシコを種から育てる場合、種まき時期は9月から10月頃となります。
用土は赤玉土や種まき用土を使用します。育苗ポットや箱にまいたあとは軽く土を被せ、深く植えすぎないように注意してください。
買ってきた苗を植え付ける場合は、ポットから苗を出したあと、軽く根をほぐしてあげましょう。根を広げることで、土のなかに根を張りやすくなります。
植え付けは寒さが厳しくなる冬前の時期に行えば、春頃には根をしっかりと張ってくれ、その後の生育がよくなります。
植え替えは一年草の品種では必要ありませんが、多年草の品種を鉢植えで育てている場合は成長が進み、鉢のなかで根づまりを起こすことがあります。
水やりをしているにも関わらず、花がしおれている場合は根づまりを起こしている可能性が高いので、大きい鉢に移してあげましょう。
ナデシコの増やし方は、「種まき」、もしくは「挿し芽」や「株分け」といった方法があります。ナデシコは株が古くなると枯れやすくなったり、生育速度が遅くなりやすいので、数年に一度は株を更新をするためにも種まきや挿し芽で増やしていった方がいいでしょう。
挿し芽は春の4月から6月、秋の9月から10月頃が適しており、気温が安定しているため、うまく根を張る可能性が高くなります。
挿し穂には、まだ花がついていない若い芽を選んで切り取って、1時間ほど水に浸けましょう。水から挿し穂を取り出したら、用土を入れたポットに挿し穂を挿します。2週間から3週間ほどが経過し、十分に根が張ってきたら、鉢や庭などに移してあげましょう。
株分けで増やす場合は9月から10月頃の時期が適しています。
株は張りがあって元気なものを選び、芽が3つほどそれぞれの株につくように手で分けましょう。株分けを終えたら、根を広げポットや鉢に植え、根が張るまでは日陰で管理しましょう。
風通しが悪く、蒸れた環境が続くと立ち枯れ病や灰色かび病、黒さび病が発生しやすくなります。
黒さび病などが起きると葉に斑点が出て来るので、そのような状態を確認したら、すぐに発生した部分を切り取るなど対策をするようにしましょう。
そのほかにも、ナデシコの生育期にはアブラムシやヨトウムシなどが発生することもあります。
栄養を吸われて成長や開花が遅くなる原因にもなるので、こちらも見つけ次第駆除するようにしましょう。薬で予防する場合は、オルトラン粒剤を使用しましょう。
ナデシコがかかる病気の予防としては、こまめに花殻を摘んだり、切り戻しを施すことが大切です。風通しの良く過湿にならない環境を維持しましょう。
また、特に高温多湿になりやすい夏や梅雨の時期には、枝分かれによる蒸れを防ぐためにも、咲き終わった茎はすぐに切り戻しするといいでしょう。
ナデシコには強い耐寒性があり、低い温度には非常に強い植物です。
真冬のマイナス15℃ほどの寒さの中でも枯れることはなく、休眠することで、次の春には花を咲かせることもあります。暑さにもある程度の耐性は持っていますが、夏の時期に高い気温が続くと生育が弱まることもあります。強い直射日光を避ければ、夏越えも難しくないでしょう。
種から発芽するには20℃ほどが適した条件となっています。また、生育温度としては15〜25℃ほどが適しており、春や秋など気温が安定した時期に花を咲かせることが多いです。
ナデシコの種や草は、中国では生薬としても使われてきました。生薬ではカワラナデシコや中国原産のセキチクといった品種が使われます。
開花したとき、地上部に出ている全草を瞿麦(くばく)、秋頃に収穫して乾燥させた種の部分を瞿麦子(くばくし)と呼び、中国では瞿麦が、日本では瞿麦子が好まれて用いられていました。
消炎や利尿効果があるとされており、尿路疾患などに用いられています。生薬として用いる際は乾燥させた全草や種子の部分を水で煎じて飲みます。
日本でナデシコというと、一般的には昔から国内に自生しているカワラナデシコを指します。別名ではヤマトナデシコとも呼ばれており、秋の七草となっているのもこのカワラナデシコになります。
ナデシコ科ナデシコ属の花は北半球の暖かい地域を中心に広く分布しており、約300近い種類があります。中国が原産のセキチクは別名カラナデシコとも呼ばれ、ヤマトナデシコと区別されています。
日本固有の品種としてはヒメハマナデシコやシナノナデシコがあり、カワラナデシコとハマナデシコと合わせた4種が日本の各地で自生しています。学名ではダイアンサスと呼ばれ、園芸品種としてはこちらの名前で売られていることが多いです。
ナデシコの花言葉は「大胆」、「純愛」です。
今回は日本でも昔から親しまれてきた花である、ナデシコ(なでしこ・撫子・ダイアンサス)の育て方についてご紹介しました。
自然の中で自生してきたナデシコは乾燥や寒さにも強いため育てやすく、また四季咲きの品種も多いため1年を通して楽しむことができる花です。
ナデシコは種類が多く、日本の野原では見ることができない品種も多いので、ぜひ観賞用として庭やベランダで育ててみてください。
GreenSnap編集部