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日本でおなじみの果実レモンは、地植えのほか鉢植えでもかんたんに栽培することができるため、家庭菜園としても人気があります。ここでは、そんなレモンの育て方を鉢植えと地植え別に分けて詳しくご紹介します。そのほか実の収穫方法、気をつけるべき虫や病気、よくある質問などについても記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
レモンの木は、暖かくて乾燥した環境で育てます。寒さには弱いので、冬の管理には気をつけてください(冬場の処置については後述します)。
また一般的には、レモンは鉢植えの方が管理しやすいとされています。ただし、温暖かつ雨の降らない地域であれば、地植えで栽培することも可能です。
レモンの木を庭やベランダなどで鉢植え栽培する場合は、7号鉢以上のものを使用してください。鉢は、強い風が当たらない、日当たりの良い場所で管理します。
東北より北の地域では、冬は南向きの軒下や室内の明るい場所に取り込むと良いでしょう。
レモンの木を庭などに地植えする場合は、日当たりがよく、水はけの良い土壌で栽培します。
レモンの木の栽培には、水はけの良い用土を用います。鉢植えの場合も、地植えの場合も、市販の果樹用の培養土もしくは、赤玉土と腐葉土、川砂を混ぜたものを用いましょう。
また、元肥として、12〜1月に有機質配合肥料を1株に1kg目安で与えておきます。
レモンは1本でも結実しますが、収穫できるようになるまでに数年かかります。そのため、早く実の収穫を楽しみたいという方は、大苗(3年生以上)を購入すると良いでしょう。
レモンの苗の植え付け時期は、3〜5月にかけてが適期です。
植え付け方法は、以下の通りです。
なお鉢植えの場合は、レモンが結実するまでに2〜3年ほどかかります。
レモンの木は地植えすると大きく育つため、複数の苗木を植え付ける場合は、苗同士の間隔を5〜6mほどあけてください。
植え付け方法は、基本的に鉢植えの手順と同じです。地植えの場合は、レモンが結実するまでに3〜4年ほどかかります。
土が乾いたら、鉢底から水が沁みてくるくらいまで、たっぷりと水を与えます。
レモンの木は水切れを起こすと、翌年の実がつきにくくなるので気をつけましょう。また、実が大きくなる夏場は特に水をしっかりと与えることが大切です。
地植えの場合は、基本的に水やりは不要です。降雨に任せておけば大丈夫です。
ただし、真夏の時期に1週間以上晴れた日が続いた場合は、軽く水やりをしておきましょう。
レモンへの追肥は必ずしも必要というわけではありません。
ただし、大きい実をたくさん収穫したい場合は、毎年2月と9月に肥料を与えてあげると良いでしょう。与える肥料は、ゆっくりじわじわ効果が続く緩効性肥料が好ましいです。
レモンを鉢植え栽培している場合には、根詰まりを防ぐためにも。2年ごとに植え替えが必要です。植え替え時期は、植え付け同様の3〜5月頃が適期です。
植え替え方法は、以下の通りです。
地植えの場合は、植え替えは不要です。
レモンの木の剪定時期は、3月頃が適期です。大切な作業ですので、苗が小さなうちから、こまめに剪定をして樹形を整えていきましょう。
さまざまな仕立て方がありますが、レモンは「半円形(2本)仕立て」にするのがおすすめです。
半円形にすれば、レモンの木が横に広がり、果実を収穫しやすくなります。
半円形仕立ての方法は以下の通りです。
なお、ワイヤーなしで誘引するのでも大丈夫です。半円形になるまでには数年かかりますが、一度半円形になったらあとは比較的楽になりますよ。
大きなレモンの実を収穫したいならば、花をつみます。こうすることで残ったレモンの実が大きく育ちます。
レモンは植え付けから3年ほど経過すると、5〜6月、7〜8月、9〜10月頃にかけて3回ほど開花します。この時期に花がたくさんつきすぎないよう、なるべく小さい花を選んで適度に取り除きましょう。
花が咲きはじめると次第に、レモンの木に青い実がつきはじめます。一つの枝に実がつきすぎると、翌年実が少なくなる可能性があるため、適宜摘果を行う必要があります。
春枝についている、5〜6月頃に開花した秋果(秋に熟す実)を残し、そのあとに伸びた夏枝・秋枝についた冬果・春果は摘み取ってしまいましょう。なお秋果についても、葉っぱが20〜30枚に1果を目安として摘み取ります。
品種にもよりますが、基本的にレモンの木は寒さに弱いです。冬の気温が5℃を下回るような地域では、鉢を室内に取り込んでおいてください。
レモンを地植えしている場合は、ワラなどを株元に敷いてマルチングしておきましょう。
レモンの収穫時期は、9〜5月頃です(※品種によって収穫時期は少し異なります)。
レモンの実が黄色く色づくのは12月頃からですが、9月以降であれば、熟していない青色の実でも収穫することができます。温暖な場所でレモンを栽培している場合は、冬の間は収穫せず、春頃から収穫するのも良いでしょう。
レモンを収穫する際は、ほかの枝を傷つけないよう注意しながら、軍手をつけて園芸バサミでヘタの上を切り取りましょう。
青いレモンを収穫した場合は、涼しい場所で保管し、追熟させます。
レモンの木の増やし方は「接ぎ木」「挿し木」「種まき」という3つの方法があります。
レモンの増やし方では「接ぎ木」という方法が最もおすすめです。台木には抵抗力の強いカラタチなどを用いましょう。
「挿し木」の場合は、レモンの枝を10cmほど切り取ったら水につけて湿らせたあとに用土に植え付けていきます。どちらの方法でも良いですが、剪定をかねて挿し木などすると木に与えるダメージも最小限にできます。
あまり一般的ではありませんが、レモンの実から取った種で増やすことも可能です。レモンは種から育てると勢いよく育つことも特徴。しかし、花がつくまでには10年近くかかることもあります。
このため、早く収穫したいならば、やはり接ぎ木などで増やすのがおすすめです。
良いレモンを育てるには、4〜10月の間にあまり雨にあてないことがポイントとなります。
レモンの花が咲いたのに実がならない場合は、うまく受粉ができていない可能性が考えられます。
レモンは1本でも結実する果樹であり、基本的には人工授粉も必要ありません。ただし、花つきが悪かったり、室内などの花粉を運ぶ虫のいない環境で栽培することで、受粉がうまくいかないケースが発生します。
その場合は、綿棒や筆などで花をひとなでし、花同士を受粉させてあげましょう。
レモンは水やりや肥料やりの頻度が多くなく、育て方もそこまでむずしくないため、温暖な環境で栽培している場合は、比較的ほったらかしにしていてもある程度の実の収穫を楽しむことができます。
ただし、鉢植えで育てている場合は、ほったらかしにしていると根詰まりを起こし枯れる可能性があります。
また、レモンの木は樹高3mほどにも生長するため、地植えしている場合は予想外に大きくなってしまう可能性もありますので、注意しましょう。
レモンを地植え栽培する場合には、「リスボン」や「ビラ・フランカ」などの品種がおすすめです。
レモンは基本的に温暖な気候を好むため、冬の時期に鉢の移動ができる鉢植えでの管理がおすすめですが、もし庭などに地植えして育てる場合は、樹勢が強くて耐寒性も強い品種を選ぶと良いでしょう。
鉢植えレモンは、日当たりの良い南向きの場所を確保できれば室内栽培も可能です。
ただし、冷暖房の風が直接当たるような場所には置かないように注意してください。
また、室内で育て続けていると、コバエなどが発生する可能性があります。もし虫の発生が気になる場合は、肥料分のない赤玉土などを土の表面に敷いておくと良いでしょう。
レモンの葉っぱが黄色く変色して枯れるときは、「気温が低い」「根腐れしている」「カイヨウ病にかかった」などの原因が考えられます。
レモンを地植えしている場合は、敷き藁や寒冷紗で苗木を覆うなど対処してみましょう。鉢植えにしている場合は、室内に取り込んだり、植え替えを行うなどしてください。
また、レモンの実にも斑点がついている場合は、カイヨウ病の発症を疑いましょう。カイヨウ病を発症した箇所は、見つけ次第取り除いてください。
レモンの葉っぱが丸まるときは、「ハダニが発生した」「エカキムシが発生した」などの原因が考えられます。
葉の裏側に虫がいた場合はハダニの可能性が高いです。また、葉っぱに虫が通ったような白っぽい跡が残っている場合は、エカキムシ(ハモグリガの幼虫)の可能性が高いです。
どちらも見つけ次第、殺虫剤などで駆除し、葉っぱは取り除いておいててください。
レモンの木にはさまざまな虫が発生します。虫がつくと、実が小さくなったりすることがあるため、見つけ次第直ちに対処しましょう。
虫除けネットやスプレーを駆使するとともに、虫が多い地域ならば鉢植えで育ててしまうのもおすすめです。
アブラムシが発生すると、レモンの葉や幹に取りついて、養分を吸収してしまうため、見つけ次第殺虫剤で対処しましょう。
アオムシに葉を食害されることもあります。アオムシは大飯食らいなので、数日で葉がボロボロになることもあります。こちらも殺虫剤でなんとかします。
ハダニは葉の裏側に住み着いて養分を吸収します。定期的に葉の裏側を確かめてハダニがいないかチェックしてください。また、葉の裏側を定期的に霧吹きしておくことで、ハダニが住み着きにくくなります。
ハモグリガは柑橘類系の植物に発生しやすい虫です。この虫は葉の中に潜伏して葉を食害していきます。ミカンハモグリガを放っておくと、カイヨウ病にもなりやすくなります。殺虫剤で対処しましょう。
レモンは5月以降になると、カイヨウ病を発症しやすくなります。カイヨウ病を発症すると、葉っぱや実に黄色い斑点ができます。台風などの強風で葉っぱなどに傷がついたり、土の水はけが悪いと感染しやすくなります。
リスボンは日本で多く栽培される、香りが強い品種のレモンです。
耐寒性が強く、秋にたくさん収穫ができます。木が大きくなるため、地植え栽培におすすめ。
ジェノバは種が少なく、果汁が多い品種のレモンです。料理用のレモンを栽培したい方におすすめです。
ポンテローザは通常のレモンの数倍の大きさになるため、とにかく大きな実を収穫したい方におすすめの品種です。
酸味も少なくて食べやすいですが、スーパーで見かけることはほとんどないため、家庭菜園で栽培してみるのも良いでしょう。
ビラ・フランカは、果実がたくさんなる年とならない年が交互にやってくる品種のレモンです。
酸味が非常に強いレモンは、ビタミンなどの栄養も豊富で、食卓でも大活躍してくれますよね。
そんなレモンの栽培は、難しそうに見えて実はかんたんです。レモンを自宅で栽培できれば、自分の家では消費できないくらいレモンが収穫できることもあります。ぜひの庭やベランダなどでの栽培に挑戦してみてください。
なお、レモンは虫が発生しやすいので、虫対策はしっかりしておいてくださいね。
※トップ画像はhiro1960さん@GreenSnap
GreenSnap編集部