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アボカドは、クスノキ科のワニナシ属に分類される常緑高木の果樹です。アボカドの実は、野菜と勘違いされがちですが、洋梨に似た実が付く果物です。栄養素も豊富で食べる美容液とも呼ばれるアボカドの上手な育て方について解説していきます。
アボカドの植え付けに適するのは5月~6月頃です。
アボカドは種から水耕栽培で育てることもできますが、一番簡単な方法は、鉢植えで発芽をさせる方法です。鉢の底に軽石を敷いてその上に培養土を入れて種の平らになっている方を必ず下(種が尖っている方が上)にして植えるようにします。
ポイントは、土を完全に被せるのではなく、少し種の頭部分を土から出して植えるようにすること。そして、種や土が乾燥しないように、十分に水を与えてあげます。
気温が20度前後くらいになると発芽しますが、発芽までは時間がかかるので、焦らないようにしてくださいね。
種まきですが、これはスーパーで買ってきたアボカドを食べた後、中の種を捨てずに利用すると簡単です。
種は乾燥に弱い性質があるので、食べたらその日のうちに土に植えます。種は乾燥だけでなく寒さにも弱いため、できるだけ気温が20度前後くらいになってから植えるようにした方が良いでしょう。
種に果肉がついていると土が腐る原因となり、発芽抑制作用があるため、事前によく水で洗ってから植えるようにしてくださいね。
種を水耕栽培する場合も、ゆくゆくは鉢植えや庭に地植えします。
また、アボカドは成長が早いので、数年に一度を目安に植え替えを行います。根の部分がデリケートで弱い為ため、植え替えをする際には、土をできるだけ崩さないように注意して植え替えを行います。
植え替えの際には、一回り大きな鉢の中に入れ、そこに新しい土を足すようにします。
鉢植えの場合の植え替えは、根が鉢底からはみ出てくるようになったら根腐れや根詰まりの原因となるのでそれを目安にします。
アボカドは、日光がよく当たる場所が最適です。大きく成長するため、大きな鉢なら育てられないことはないですが、一般的には大きくなってきたら鉢から庭にうつして地植えします。
地植えするときは、庭の中でも十分な日光が確保できる場所を選ぶ必要があります。
アボカドは、日当たりの良い場所が一番向いていますが、庭に地植えをするときは、強い北風が頻繁に当たる場所は避けましょう。
また、庭に地植えした場合は25mほどまで育つので、十分なスペースを用意しておくと安心です。鉢植えでも2mくらいになるので、室内で育てる場合も、ある程度のスペースは必要です。
室内で育てるなら、明るい場所に置くようにします。例えば、リビングの窓際などがおすすめです。
アボカドの成木には耐寒性がありますが、幼木は寒さが苦手で枯れてしまう可能性が高くなります。最低でも1m程度になるまでは、冬の時期は鉢植えにして室内に移動させるようにすると安心です。
地植えする場合は、株元付近に腐葉土を盛り、根に直接霜が当たらないようにしてくださいね。
冬の時期に室内に移動させて管理した鉢植えは、まずは明るめの日陰で約1週間程度置いて慣らします。その後、半日陰にさらに1週間程度移動して管理します。そのあとで日向に移動すると、葉焼けが起きにくくなります。
いきなり日向に置きなおすと葉焼けがしやすいので、注意してくださいね。ただ、葉焼けを起こしてしまっても、生命力が旺盛なのですぐに次の葉が生えてきます。
アボカドは水を好む性質があります。鉢植えの場合には、土の表面が乾いていたら水をたっぷりと与えます。特に生育期である3月頃~9月頃には、水切れを起こしやすくなるので、ご注意を。
地植えした場合は、一旦きちんと根づいたら、特に水やりは必要ありませんが、夏場の暑い日が何日も続くようなときは、様子を見て水やりを行います。
アボカドの水やりのサインは、葉が全て下を向いて萎れたような感じになったとき。このような状態になったら水をあげるようにして下さい。
アボカドは、低温期となる冬場に過湿気味にしてしまうと根腐れを起こしやすくなります。そうなると枯れてしまうので、冬場の水やりは控えめを心掛けるようにします。
土の表面が濡れているときは、水を与えないようにしてください。
アボカドは春~秋が生育期です。3月と9月のそれぞれ一回、緩効性の化成肥料を規定量与えるようにします。
肥料にはリン酸が多めのものが適しています。
花の開花時期である5月頃には肥料が沢山必要ですので、液体肥料も併せて与えると良いでしょう。
アボカドは酸性で、水はけの良い土を好む性質があります。自分で一から作る場合には、「赤玉土の小粒6:ピートモス3:川砂1」、もしくは「赤玉土の小粒7:腐葉土3」を配合して作った土がおすすめです。
市販で売られている園芸用の培養土などでも、特に問題はありません。
アボカドの増やし方ですが、種から自分で栽培して増やすことは現実にはかなり難しいといわれています。
というのもアボカドの花は両性花の雌雄異熟花となっています。
雌花と雄花の開花の時期にズレがあり、また午前に受粉する種類と午後に受粉する種類があることも、その理由となっています。
1品種のみでは結実しにくいので、増やしたい場合には、違う品種を混植します。
1品種の場合には、雄花を冷蔵庫で保管しておいて雌花が咲いたらその花粉で人工的に受粉させることが前提となります。
一般的には、種からではなく台木に穂木をする「接木」という方法で増やします。この方法の方が、実が成るまでの時間の短縮にもなります。
観葉植物として室内のおしゃれなインテリアとして育てる方が良いでしょう。
アボカドの病気でよく知られているものには、「炭そ病」というのがあります。これは、枝の部分が密集していて風通しが悪い状態になってしまうと、葉の部分に黒褐色をした病斑が現れてきます。
特に順調によく育ったアボカドの木では、葉も比例してよく茂るようになるので注意が必要です。
予防方法としては、常に風通しを良くするために、適度に剪定を行うこと。
一度この病気に掛かってしまうと、治療ができないといわれています。既に病気に掛かってしまった葉は全て切り取って捨てるようにしてください。
またアボカドによく発生する害虫には、ハダニやカイガラムシがあります。
これらの害虫も、枝が密集して風通しが悪いことが発生原因となるため、炭そ病と剪定を行って風通しをよくします。
ただし、イモ虫は、アボカドの葉を好んで食べてしまうので、発見次第すぐに取り除くようにして下さい。
幼虫だと薬剤を散布することで駆除できますが、殻を被った成虫になるともう薬剤は効かなくなってしまいます。成虫は、歯ブラシなどを使って茎や葉からこすり落として駆除します。
アボカドは、日当たりが確保できて、寒い冬場は暖かい場所で育てる方が良いです。熱帯果樹なのに成木は耐寒性があるので、日本の関東南部の西の地域で育てる場合には、一年を通して戸外で栽培することも可能です。
生育に適した温度は15℃~33℃くらい。幼木のうちは、気温が5℃以下になったら室内に移動するようにしてください。
冬の寒い時期は寒風にも弱いため、防寒対策を忘れずに行うようにします。
アボカドは世界中で約700種類以上の品種があるといわれていますが、大きく3種類に分けることができます。
まずメキシコ系と呼ばれるタイプのアボカドです。これはメキシコを原産とする早生系タイプのもので、一番耐寒性のある品種です。
耐寒温度は-7℃で、小果で果皮の部分は柔らかくて薄いのが特徴です。また葉の部分はウイキョウの香りを持っているのも特徴となっています。
次に、西インド系のアボカドです。これは中央アメリカや南アメリカを原産とし、一番耐寒性が弱い品種です。
耐寒温度は-2℃で、中果で果皮の部分は粗面で厚く、革質となっていて平滑となっています。
最後は、グアテマラ系のアボカドです。これは中央アメリカを原産として、メキシコ系と西インド系との中間的な位置づけとなっています。3種類の中では、一番果実のサイズが大きく、果皮も厚くて粗面となっています。
日本で一番流通している品種の多くは、このグアテマラ系の中のメキシコ産の「ハス」と呼ばれる品種の果実です。ハスは皮がゴツゴツとした感じで、その他の主な品種としては、「メキシコーラ・フエルテ・ベーコン・ピンカートン・ズタノ」などがあります。
アボカドの収穫時期については、品種によっても違っているのですが、一般的なアボカドならば、11月頃~3月頃までとなっています。
西インド諸島系のアボカドは、熟したら自然に何もしなくても下に落ちます。
メキシコ系やグアテマラ系のアボカドの場合には、熟したとしても落下することはないので、油分を充分に保有した状態になっていればいつでも収穫が可能です。
樹上で熟すようにすると果実が肥大していくのに比例して油分も多くなって濃厚な味となります。
収穫をした後は、室温にて約1週間~2週間程度を目安に追熟させるようにします。
適温は25℃くらいです。果皮の部分が黒っぽくなり押してみて柔らかくなっていたら食べ頃のサインです。
早く食べたい場合には、エチレンガスが発生するリンゴなどの果物と一緒に、袋の中に入れておくと短期間で追熟して柔らかくなってくれるのでおすすめです。
アボカドの花は、両性花なのですが雌雄異熟花となっています。雌ずい(雌しべ)と雄ずい(雄しべ)が成熟する時期が異なる事を意味しています。
そして一つの花がその時間帯により雌花となったり、雄花となったりするのです。
最初に雌ずいが開花してから半日後に雄ずいが開花をします。
これには2タイプがあって、午前中に雌花が開花をして、午後になると閉じ、次の日の午後になると雄花が開花するものをAタイプと呼んでいます。
午後に雌花が開花をして、夕方になると閉じて、次の日の午前中になると雄花が開花するものをBタイプと呼んでいます。
開花Aタイプには、「ハス・メキシコーラ・ピンカートン」があります。
開花Bタイプには、「フエルテ・ベーコン・ズタノ」があります。
花は5月頃に咲きますが、花自体はとても小さいものが無数に咲きます。
壺のような形状で薄黄緑色をしています。結実率としてはとても低く、1万分の1程度となっています。
アボカドの育て方についてご紹介してきました。葉も大きくて観賞用に適しています。
但し結実率は低く、実が成るまでにはかなり時間も掛かり難しいので、スーパーで買って来て食べた後の種を捨てずに、水耕栽培や鉢植えにして育てて室内のインテリアとして育ててみるのがおすすめです。
ほっておくとどんどん生育して樹高がびっくりするくらい高くなってしまうので、適度な摘心も忘れない様にして、肥料や鉢のサイズで調整するのがいいかもしれませんね。
takenaka