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ニンジン(人参)は緑黄力野菜の代表ともいえ、食卓に彩りと健康をもたらしてくれる野菜です。栽培期間がやや長くはありますが、栽培自体は簡単なので、家庭菜園初心者で簡単に育てられますよ。
今回は、ニンジン栽培での種まきや間引きの方法、収穫時期などを、畑栽培とプランター栽培別で詳しくご紹介いたします。
ニンジンは直射日光を避けた、適度な日当たりと、風通しの良い場所を好みます。栽培適温は15〜25度で、やや冷涼な環境が適しています。
直根性で移植を嫌い、かつ栽培期間3〜4ヶ月と長いので、太陽が移動して栽培後期に日当たりが悪くなったり、逆に直射日光が長時間あたるなどのことがないよう、種まきの時点から栽培場所をしっかりと考えるようにしましょう。
ニンジンは深く根を張る野菜ですので、5寸ニンジンなどの短根種であれば深さ20cm以上、長恨種であれば深さ30cm以上ある、深型のものを使うといいでしょう。
幅は650cmほどあると8〜10本ほど収穫できます。
ニンジンは耕土が深く、水はけ・水もちのバランスのとれた土を好みます。土壌酸度はpH5.5〜6.5ほどの中性〜弱酸性を好みます。酸性が強いと生育が鈍るので、苦土石灰でしっかり調整しておきましょう。
プランターでニンジンを育てる場合、種まきの2週間前から準備を始めます。用土の配合の比率は下記がおすすめです。
黒土3:赤玉土(小粒)3:バーミキュライト3:川砂1
さらに土1ℓあたり緩効性化成肥料を20〜30g混ぜ、その1週間後に苦土石灰を2gほど混ぜて酸度調整をします。種まきをするのはさらにその1週間後になります。
市販の野菜培養土もおすすめですが、ニンジンなどの根菜の場合は堆肥が根の変形の原因になるので、堆肥が豊富に含まれるものは避けましょう。
地植えでニンジンを育てる場合も、種まきの2週間前までに弱酸性の土壌にしておきましょう。苦土石灰を1㎡につき200gほどまいてよく耕します。その1週間後、緩効性化成肥料を1㎡につき100〜150gまいて、よく耕しておきましょう。
よく畑に使われる堆肥はニンジンの栽培には不向きです。堆肥は一定量のかたまりになっていることが多く、それが土中にあるとニンジンが根を伸ばすときに邪魔になります。又割れやいびつな形のニンジンになってしまうので、堆肥の代わりに黒土を畑土の3〜4割混ぜておくといいでしょう。
ニンジンは深く根を伸ばすので、品種に応じて30〜50cmほどの深さまで土を耕すことで、長くて太いニンジンの良作につながります。
ニンジンの種まきの適期は年2回あります。3月中旬〜4月中旬に種まきする「春まき」と、7月〜8月上旬に種まきする「夏まき」です。
ただし、ニンジンは寒さにあたるととう立ちしやすくなるので、家庭菜園の場合は、温度管理が比較的楽な「夏まき」がおすすめです。
ニンジンの種はとても小さいので、種をまく前にあらかじめ土を湿らせておきましょう。湿らさずに種まきをした場合、あとで強い勢いで水やりをすると、種が動いて負荷がかかったり、流出してしまうので注意して下さい。
また、ニンジンの種まきには、まきやすいようコーティングされたペレットシードを使うようにおすすめします。
ニンジンは発芽までに水を切らさないことが大切です。種まきから5〜10日で発芽しますが、それまでは常に土が湿った状態を保つようにしてください。
畑などの広範囲の地植え栽培の場合には、敷きわらや不識布をベタ掛けして、湿度を保つのもいいでしょう。
ニンジンの種は好光性種子なので、日光を受けて発芽します。覆土はごく薄めにして、プランターなら日当たりのいい場所に置いておくとよく発芽します。
ニンジンは収穫までに2回ほど間引きを行います。
なお、間引きと同時に雑草もよく抜いておきましょう。ニンジンの生育初期は成長がゆっくりですので、成長の早い雑草に養分をとられてしまう可能性があります。間引きの作業時に、必ず雑草の処理もするようにしてください。
ニンジンの肥料は、2回目の間引き後のタイミングで行います。化成肥料を一株あたり5g、もしくは株間に1㎡あたり20〜30gの化成肥料を均一にまきましょう。
土をほぐしながら肥料とよく混ぜ合わせ、ニンジンの肩まで土を寄せて抑えてください。このとき葉の生え際に土が入らないように注意しましょう。
ニンジンの収穫は、春まきの場合は7月上旬〜8月下旬です。夏まきの場合は11月上旬〜2月下旬で、だいたい種まきから110〜130日で収穫に至ります。
収穫のサインは、地上部に出ている根の直径が(品種にもよりますが)4〜5cmになったらです。収穫前に根の肩が出ていたら土を寄せて日光が当たらないようにしてください。
収穫後に長期保存する場合は、掘り上げた土つきのまま、1箇所にまとめて土を被せて貯蔵しておきましょう。
とう立ちとは花芽が伸びてつぼみができたり花が咲いた状態になることです。とう立ちしてしまうと、根の繊維が締まるので、野菜としては食べられないほどニンジンがスカスカになり硬くなってしまいます。
一度とう立ちしてしまうと、もうそこから対処する方法はありません。むしろ花を咲かせて種を採取して、次の栽培の準備をするほうがいいでしょう。
とう立ちすると太く長い花茎が伸びてきます。ニンジンの葉茎は生え際は太いですが、先にいくにつれて細くなり、細い切れ込みがはいった繊細な葉をつけますよね。でもとう立ちして伸びつ花茎は先にいっても細くならず1mほど伸びていきます。さらに葉をつけずににょっきりと伸びていくので見分けるのは簡単です。
ニンジンのとう立ちの原因の多くは、低温に当たること、日照時間が長くなることの2つです。
ニンジンの栽培適温は15〜25度ほどですが、15度以下のときに種まきをしたり、発芽して成長してからも15度以下の低温にさらされるととう立ちしやすくなります。また、日光を浴びる時間が12時間を超えるのもとう立ちしやすくなる原因です。
つまり、気温が上がりきらない春の時期の栽培や、夏至に向けて日照時間が長くなる春まきのニンジンは、とう立ちがしやすいのです。これが初心者に夏まきをおすすめした理由です。
一番の予防になるのは栽培適温を鑑みた時期に種まきすることです。春まきであれば気温が上がりきって安定してきた遅めの時期に。夏まきであれば栽培後期に寒さに当たらないよう、気温が落ち着いたなるべく早めの時期に種まきをしましょう。
種まきをした後に気温に振り回されないためには、黒マルチを使うのも効果的です。気温の影響を受けにくくなり、雑草予防にもなるので栽培が楽になりますよ。
ニンジンは夏の高温多湿の時期に黒葉枯病や黒斑病が発生しやすいです。他にもうどんこ病、なんぷ病、モザイク病が発生しやすいので、薬剤などで防除してください。
害虫の被害では、キアゲハやヨトウムシなどの芋虫、ニンジンアブラムシ、ブチヒゲカメムシなどが発生します。発生したら即急に駆除してください。
勘違いされている方も多いのですが、ニンジンは苗を植えて育てる栽培方法ではなく、直まきといって種から栽培するのが一般的です。一般的なニンジンなら苗も出回ることはありません。ニンジンを栽培するなら植える時期ではなく、種まきの時期を見てみましょう。
ただし、ニンジンはスーパーで買ってきて使った後、水耕栽培で再生栽培をする人もいらっしゃいます。その場合、育ってきたニンジンを土に植える時期というのは3〜4月、もしくは9月後半〜10月がおすすめです。
ニンジンの栽培適温は15〜25度なので、そのくらいの気温に時期に植えてあげると、元気に育っていきますよ。
ニンジンと相性がいいのはアブラナ科の野菜です。とくに同じ直根性で根を邪魔し合わない大根、ラディッシュ、カブなどがおすすめです。ダイコンは栽培期間がニンジンとかなり近しいので一緒に種まきをしてもいいですし、ラディッシュやカブは1ヶ月程度で収穫できるので、後から一緒に育てることもできますよ。
ニンジンはセリ科ですが、科の違う植物を近くで育てることで、互いが被害にあいやすい害虫を遠ざけることができます。家庭菜園ならば無農薬で育ててみたいですよね。コンパニオンプランツを活用すれば、害虫対策にもなるのでおすすめです。
収穫したニンジンが細くて小さかったという失敗談をよく聞きますが、ニンジンが大きくならない原因には間引きをしていない、もしくは足りなかったことなどが考えられます。
間引きの項目で説明した通りのタイミングで、正しい株間を開けるように間引きしましょう。欲張って間引きをしないで育てると、細くよわよわしいニンジンしか収穫できなくなります。
反対に、しっかりと株間をあけることで、一株ずつに適切な量の栄養や水分がいきわたり、ぐんぐんと育つようになりますよ。
ニンジンを育てる上で注意したいのは、種まきから育成初期にかけてです。とくに発芽までは土を湿った状態にしておくこと、除草を怠らないことが重要ですが、そこさえ抑えれば、あとは簡単に栽培ができるので、みなさんもニンジンを家庭菜園で育ててみてください。
GreenSnap編集部