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発酵させてワインにしても美味しいブドウ(葡萄)は、実は農園ではなく家庭でも栽培することができる果物です。ブドウは、栽培のコツをしっかり分かっていれば、地植えだけでなく鉢植えでも、立派な果実をつけることができます。また、食べ終わった実の種から栽培することもできますよ。それでは、そんなブドウの育て方をみていきましょう。
ブドウの産地での平均気温は、11度〜15度です。ブドウは7度以上の気温を保つことができれば十分育てることができます。
基本的には日本のどこでも栽培可能できますが、夏から秋にかけての雨量が少なく、日照時間の長い地域の方がより栽培に適しています。心配な方は、初心者向けの品種を選ぶなどしましょう。
ブドウは日光を好むので、地植えの場合でも鉢植えの場合でも、日当たりの良い場所を確保しておきましょう。また、風通しの良い場所であることも大切です。
また、ブドウの耐寒性はかなり強いです。耐暑性もかなりありますので夏の間でも心配はありません。ブドウを鉢植えやプランターで育てていても、置き場所には困らないはずです。冬は邪魔にならない場所で管理しておきましょう。
ブドウを鉢植え栽培している場合は、土の表面が乾いていたら鉢底から水が流れてくるぐらい与えます。地植えをした場合は、夏の日照りが続いているときには水やりを行いましょう。ただし、ブドウの種類・品種や土質によっても異なります。
ブドウは乾燥に強いため、植え付けを行ったあとにたっぷり水を与えたら、根付くまでは水やりを控えめにしましょう。鉢植えの場合は乾いてから水やりをし、地植えでは水やりは極力やめておくと覚えておきましょう。
ブドウを地植えしている場合は、雨除け対策を施しておきましょう。梅雨の時期は要注意で、葉や枝に水分がかかると菌を発生させやすくなります。
また、実が熟した時期になったときに房の部分に菌が発生しやすく降雨に当たると腐敗が進行してしまいます。ビニールハウスなどの雨よけをつくるなどして、雨に当てないよう育てます。どうしても雨を避けられないならば、予防の薬を蒔いて強化しておきましょう。
冬はカラカラに乾燥した状態にしておきましょう。特に、地植え栽培の場合は水やり不要です。
ブドウに元肥を混ぜる際は、地植えなら10月後半〜11月上旬に、鉢植えなら2月に与えます。
地植えでは収穫が終わったとに、お礼肥として9月中に肥料を与えます。
地植えの元肥と追肥では、化成肥料を使用しましょう。用意できるのであれば、化成肥料を混ぜるよりもできれば堆肥などを施すように心がけて下さい。家で出てくる草や生ゴミを有効活用していきましょう。
鉢植えでは追肥として6月と9月に肥料を適宜与えます。
鉢植えの元肥には、固形の有機肥料を使います。追肥では、緩効性化成肥料を使用します。さらに開花結実を始めたら年に3回は肥料を与えましょう。各回の肥料の量を控えめにして、寒肥の役割として12月に固形肥料を与えましょう。
1つの株に200gほどを施しましょう。その後追肥の役目として春の3月・夏の8月に一つの株に対して50〜60gの固形肥料を下部周辺の土にばら撒きます。固形肥料には、粒状の「マイガーデンベジフル」がおすすめです。
ブドウの栽培に適した用土は、排水性と保水性のある土であることが必要不可欠です。この2つの条件を満たしていれば、どの用土を選んでいただいても構いません。
自作でつくるのであれば、赤玉土(小粒)と腐葉土を7:3の割合で混ぜましょう。割合を赤玉土(小粒)を8にして腐葉土を2としても育ってくれます。ブドウ専用の培養土も市販で売られているので、そちらを使っても良いでしょう。
ブドウの種まきは、市販で売っている実から採取する種を用いることも可能です。この種を10月〜12月に植え付けると、春に芽が出てきます。種は採取してから蒔くときまで、乾燥させず湿らせておきましょう。
種の保存方法としては、濡らしたキッチンペーパーなどを種にくるんで密封できる袋に入れ、冷暗所に置くのが良いです。冷蔵庫の野菜室もおすすめです。
プランターや鉢植え栽培の場合は、苗の大きさによっても異なりますが、大体8〜10号鉢のサイズを用意しておきましょう。
ブドウの植え付け時期は、11月〜2月までが適期です。ただし、寒冷地などであれば3月〜6月に植え付けることもできます。この時期に植え付けるのであれば、根を崩さずに乾燥させないようにしてください。
ブドウの苗を付属していたポットからていねいに取ります。鉢に植えるまでは、水を半分ぐらいまで入れたバケツに浸けておきましょう。鉢の底に軽石などを敷き詰め、その上に土を8割程度入れていきます。
成長をより促すためにも、苗底の中央部分をハサミで削ります。このとき、周りの土は落とす必要はありません。苗木がまっすぐ立つように支えながら、土を入れて植え付けていきます。このとき、ポット苗が地面から5cm程度出るくらいの浅植えにします。
木のすぐ隣に支柱を立て、土を踏み固めます。その後、主枝は地面から50cmほどの高さで剪定しておきます。また、2箇所ほど誘引して、仕立てておくと良いでしょう。植え付け後は、たっぷり水を与えます。
ブドウはつる性の植物ですので、このときに支柱を立てていきましょう。ただし、ブドウの仕立て方は、1年目、2年目、それ以降でそれぞれ作業が異なります。
また、仕立て方にも種類があり、棚仕立て、棒仕立て、垣根仕立てなどがあります。農園などでは棚仕立てを行っていますが、これは広い場所を必要とするので、家庭菜園には不向きです。
ここでは、行灯仕立てという方法の仕立て方をご説明します。行灯仕立ては、園芸用のアーチ支柱と針がねや紐とを使って自分でつくれます。
その後、元肥を上にパラパラと撒いていきましょう。さらに、その上に土を加え肥料を見えないように隠したら、地上部から40cmの高さのところで幹を切ります。
鉢の底から水が溢れ出るほど水やりをしましょう。あとは日当たりの良い風の通る場所に配置すれば終了です。地植え栽培の場合でも、支柱を立てるようにしてください。
ブドウは、花がつぼみの状態のときに花穂を手入れすることで、房の形を整えることができます。
主枝から3節目以上ついている花穂を1つ残して、あとはすべて根本から剪定しましょう。基本は1本の枝に1房ですが、15節目以上ある場合は2房でも大丈夫です。
残した花穂の先端も、数cmほど剪定しておくと、栄養がうまくいきわたります。
実がある程度大きくなってきたら、それよりもひとまわり大きな袋を下からかけ、房のつけ根部分をくくってとめます。こうすることで、病害虫や雨風から実を守ることができます。
ブドウが収穫できるようになるまでに、地植えの場合は2〜3年、プランター栽培の場合は1〜2年ほどかかります。
ブドウの実の収穫時期は、7〜8月です。房全体が色づき始めたら熟したサインです。
房の枝に近い方から房の先端の方向へ順に成熟するので、房先の粒を食べてみて美味しいと感じたら収穫しましょう。ブドウの中には、成熟すると香りが漂う品種もあります。
ブドウを収穫するときは、はさみを使って房の基部を丁寧に切り取りましょう。ブドウが一房成熟したからといって全部収穫してはいけません。幹全体に1度に成熟するわけではないので、確認しながら収穫してください。
ブドウの増やし方は、「挿し木」が一般的ですが、「接ぎ木」という方法もあります。
挿し木は3月に行うと良いでしょう。接ぎ穂は11月から12月に取っておきます。
先端を斜めにカットして採取した穂木を一日中水に浸しておいて、水を吸収させましょう。そしてブドウを植え付ける用土を準備します。用土には、ピートモスと鹿沼土を1割ずつ配合します。
芽を切り落として、用意した挿し木用の土に挿して完了です。一芽挿しのときは、発根促進剤を切り口の先端に散布しておくと安心です。
接ぎ木の成功率を高めるためには、ボトムヒートが重要な工程となります。
まずは、接ぎ木をする枝を丸1日水に吸わせておきます。台木と穂木をぴったりくっつくよう、できれば同じ太さのものを組み合わせてください。組み合わせた部分をパラフィルムと呼ばれるフィルムテープで固定していきます。
発根促進剤を台木の先端から3cm程度のところに散布します。苗床に多めの水を与え、穂木を挿していきましょう。土はもみ殻を使います。熱がかかるようにもみ殻の下に接ぎ木を挿すようにしましょう。あとは薬剤を撒いて予防したら完了です。
ブドウには多くの病気や害虫の被害が起こりえます。
かっぱん病と呼ばれる褐色になる小さめの斑点が葉に所々につく病気は、病気が進行すると斑点が大きくなり黒色の粒状のものが発生してきます。雨が多い季節に発生し、水をかけて跳ね返っただけでも感染することがあるので注意しましょう。
黒とう病と呼ばれる葉や果実に黒色のシミが付く病気は、進行すると葉がいびつになり歯肉に穴が居てしまいます。対策としてベンレート水和剤を施しておくと良いでしょう。
また、ブドウは晩腐病という病気にもかかりやすいです。そのほかにも、うどんこ病やべと病などにも感染しやすいので殺菌剤が欠かせません。
害虫には、ブドウトラカマキリやコガネムシ、チャノキイロアザミウマ、コナカイガラムシ類、ハダニ類などブドウは虫にとっても人気者です。
ブドウの種類は世界で1万種を超えるといわれており、果実の色は紫以外にも、黄緑、白など豊富です。最近では品種改良が進み、種のないブドウの種類も増えてきています。
ブドウの花言葉には、「思いやり・好意・信頼・陶酔・親切・慈善・酔いと狂気・人間愛・忘却」などの多くの意味が込められています。
今回は、ポリフェノールが豊富なブドウの育て方についてご紹介ました。
種類・品種によって色や味が違いますので広い土地があれば色んな品種を育ててみましょう。自分で育てたブドウをみんなで味わって食べてみませんか。
GreenSnap編集部