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家庭菜園を始めるときに初心者がつまずきがちなもののひとつに、土作りがあるのではないでしょうか。土作りの基本をしっかりと抑えれば、生育中のハプニングやトラブルにも強い野菜を育てることができますよ。
今回は、初心者こそ抑えてほしい、家庭菜園の土作りの基本的な手順やコツをご紹介します。
家庭菜園で野菜を育てるときは、次の4つのポイントを満たした土作りをしましょう。
これらの条件や、活発な微生物が含まれていると、土は「団粒構造」といって、野菜や植物が育つ上で一番理想的な状態になります。
団粒構造の土だと、水やりをしたときに、団粒の隙間に水や空気が入り、水分・酸素・栄養分が蓄えられるので、野菜がすくすく育つようになりますよ。
ちなみに団粒構造の土は、軽く湿らせて手で強く握り固めたものを指で軽く押すと、ほろほろと崩れるくらいが目安です。
家庭菜園の土作りには、観葉植物やガーデニングで草花を育てるのとは違って、酸度調整が必要です。土にも一定の酸が含まれていて、その濃度はpHの値で表されます。
それぞれの野菜には栽培適正pHが決まっており、だいたいがpH6.0前後の弱酸性〜中性を好みます。
しかしながら日本の土壌は酸性雨のせいで酸性に傾きやすいため、苦土石灰などを土にまいてアルカリに傾けさせ、酸度調整を行う必要があるのです。
プランター栽培でも、自分で配合する場合は苦土石灰を使って酸度調整しましょう。市販の野菜用培養土は酸度調整済みのものが多いので、製品表示をよく確認してください。
家庭菜園をするとき、土作りと同時に肥料も考えていくようにしましょう。植物の生育には、「チッソ(N)」「リン酸(P)」「カリ(K)」の三要素が必要であり、チッソは茎葉に、リン酸はつぼみや花に、カリは根や株全体に効果的とされています。
また、とくに野菜の栽培ではマグネシウムやカルシウムなどの微量要素・二次要素があると美味しく育つので、家庭菜園の肥料はこれらを多く含む有機肥料がおすすめです。
ただし、有機肥料は臭いや害虫が寄り付きやすいため、家庭菜園初心者には栄養効果が緩やかに長期間続く、緩効性化成肥料がおすすめです。
土作りと一緒に、有機肥料や緩効性化成肥料をいれることで、元肥といって野菜の生育初期の栄養を供給できます。
プランターで家庭菜園をするときは、当然ながら野菜を育てるのに適した土、すなわち培養土をつくる必要があります。
培養土は基本的に「基本用土」と「補助用土」を配合してつくりますが、野菜の種類によっても適した配合が異なるので、下記を参考にしてみてください。
園芸用シートやトレイに、赤玉土や腐葉土やバーミキュライトなどの用土をいれて、よく混ぜましょう。
次に野菜の生育初期に必要な肥料を加えてください。使う肥料は緩効性(ゆるやかに長期間栄養が供給される)肥料を選び、1で混ぜた培養土1ℓに対して、20〜30gほどいれてよく混ぜ、1週間土を寝かせます。
1週間後、2で混ぜた培養土1ℓに対して2〜3gほどの苦土石灰をいれて酸度調整をします。よくかき混ぜまぜて再び1週間土を寝かせてください。
プランターの底穴をふさぐように底穴ネットを敷き、プランターの深さの4分の1〜3分の1くらいまで鉢底石をいれましょう。
3でつくった培養土、もしくは市販の野菜用培養土をプランターにいれてください。苗の植え付けの場合はプランターの半分ほど、種まきの場合は8割ほどいれましょう。
野菜苗を植えて隙間に培養土をいれこむ、もしくは指でくぼみをつけたところに数粒種まきをして、ごく薄く土をかぶせてください。植え付けや種まきが終わったら、鉢底から水がしみでるまでたっぷりと水やりをしましょう。
最近では、すでにさまざまな用土がバランスよく配合された、市販の野菜培養土がよく出回っています。数種類の用土を用意したり混ぜる手間がなくなるので、初心者におすすめです。
酸度調整済み、肥料配合のものであれば、上記手順の4からつくって問題ありません。
堆肥とは、有機物を豊富にふくんだ土資材のことです。有機物が豊富だと微生物が繁殖し、その微生物が土を団粒構造へと変えてくれるため、結果的に水はけや水もちのバランスがよくなったり、通気性や保肥性が上がって作物が育ちやすくなります。
野菜の栽培には肥料が欠かせません。とくに畑や菜園などで有機栽培を楽しみたいときは、有機肥料やぼかし肥料を使うのがおすすめです。有機肥料には植物が必要をする3大要素以外に、マグネシウムやカルシウム、鉄分などの微量要素も豊富に含まれているため、より美味しく育ちます。
もちろん緩効性化成肥料も含まれている成分バランスが明確なので、とくに初心者はこちらがおすすめです。
大根やニンジンなどの根菜類を育てたい場合は、とくに細かな土が必要とされます。粒が大きいと股割れしたり曲がったりと、いびつな形になりやすいので注意しましょう。
根菜類の野菜を育てるときは、黒土を畑に3〜4割ほどまぜて耕すのもおすすめです。黒土は粒が細かく、根菜類の栽培に向いています。ただし、リン酸の補給と水はけ向上などのための配合が必要です。
まずは市販の酸度計や、酸度測定キットなどを使って、現状の土の酸度を調べましょう。また、軽く湿らして、手で強く握り固めた土が、どのくらい柔らかくほぐれるか見ながら、団粒構造に近づくように、施す堆肥の量などを考えましょう。
種まきや植え付けをする2〜3週間前に、苦土石灰をつかって土壌の酸度調整をしていきましょう。まずは畑にする部分の四隅に支柱をたて、紐で囲って石灰をまく範囲を決めます。1㎡あたり100〜200gの苦土石灰を均一にまいて、スコップで土を深さ30cmほど掘り起こしながら混ぜまぜてください。
苦土石灰をまいてから1週間後、寝かしておいた土に、堆肥と元肥(緩効性化成肥料)をまいていきます。畑の土の状態に応じて、1㎡あたり堆肥を1〜2kg、化成肥料を100〜200gほどまき、土を掘り起こしながら混ぜていきます。
幅60〜80cm、高さ10〜15cmほどの畝を立てていきましょう。紐や棒などをつかって目印となるラインを作っておくと便利です。クワなどを使って土の深さ30cmほどまで耕しながら土を盛っていきます。
畝を立てたあとはさらに1週間寝かせて土をなじませてから、苗の植え付けや種まきをするようにしてください。
畑で家庭菜園を楽しむときに注意したいのが連作障害です。連作障害とは、同じ科の野菜を同じ場所で連続して育てることで発生する生育不良のことです。
連作障害の対策には、輪作(ローテーション栽培)をするか、栽培が終わったら都度、土壌のクリーニングをするといいでしょう。
家庭菜園の土作りは、酸度調整や肥料がなじむまでに時間がかかります。プランター栽培なら苗の植え付けや種まきの2週間前から。畑栽培なら作付けの約1ヶ月前から、余裕をもって準備をするとよい栽培ができますよ。
家庭菜園において、土作りは栽培を成功させるカギです。野菜がすくすくと育っていけるように、その野菜が好む土質を理解し、適切に土作りができるようにしておきましょう。
土作りがきちんとできれば、初心者でも家庭菜園をかんたんに楽しむことができますよ。
GreenSnap編集部