warning
error
success
information
ナス(茄子)は幅広い調理方法で美味しく食べることができる、夏が旬の野菜です。そんな万能なナスは、実は家庭菜園でも栽培できます。今回は、そんなナスの育て方を、初心者の方にもわかるように説明していきます。
ナスは連作障害を起こしやすい野菜ですので、ナスを栽培するときには、ナス科の植物を連作していない場所を選ぶ必要があります。
特に庭に畑をつくって露地栽培するような場合には、ピーマンやトマトなどの野菜を植えた場所を避けましょう。同じ場所になってしまう場合は、必ず4年~5年程度経過してからナスを植え付けてください。
ナスは日光を好む性質を持っています。そのため、ナスは日当たりの良い場所で育てましょう。十分な日光に当ててあげないと、色付きが悪くなってしまうので、重なり合ってしまっているような葉がある場合には、こまめに取り除くようにしてください。
ナスは乾燥にはとても弱い野菜です。特に、ナスをプランターやコンテナでの栽培をする場合は想像以上に乾燥しやすくなるので注意しましょう。
夏場の暑い時期の水やりは、基本的に毎日行うようにします。ただし、昼間の高温となる炎天下での灌水は良くないので、朝もしくは夕方の気温が低い時間帯を見計らって、十分な水やりをしましょう。できれば、ナスは夜間に成長するので、夕方がベストです。
ナスは夏野菜ですので、冬には枯れています。そのため、冬の水やり不要となっています。
ナスは、とてもたくさんの肥料を必要とする野菜です。肥料不足になると、株もあまり大きく生長できず、良い花をつけることができません。良い花がつかないと、十分に熟した美味しい実もつかなくなってしまいます。
そのため、一番初めに入れる元肥だけではなく、後からの追肥することも大切な要素となります。
ナスに元肥を与えるときには、地植え栽培か鉢やプランターなどの容器栽培かで、その与え方が若干違ってきます。
もしナスを地植え栽培にするなら、土壌のPH調整目的で、堆肥は1㎡につき3~4㎏、苦土石灰を1㎡につき2120g撒いてください。次に化成肥料を1㎡につき150g~180g全体に撒くようにします。
追肥を与えるときは、苗を植え付けた場所から約4cm程度離して、肥料を施すための溝を両サイドにつくります。その溝に肥料を入れてから軽めに土を被せておけば追肥となります。
1回目の追肥を施したあと、2週間毎に追肥を繰り返します。ただし、2回目以降の追肥の際には、前回の追肥よりも少しだけ外側に溝をつくってから、そこに肥料を入れてください。1回の追肥で必要な肥料は1㎡につき40g~50gくらいです。
ナスをプランターや鉢などの容器で栽培する場合には、野菜専用の培養土を利用するときには、元肥は特に必要ありません。用土を自分でつくる場合には、化成肥料を規定量だけ入れるようにしてください。
追肥は、苗の株元に近い場所はNGなので、少し離れた場所に肥料を施すようにします。
1回目の追肥は一か所のみに固めて与えてはダメで、株の周りにまんべんなく撒くようにします。2回目以降の追肥の際にも、1回目と同じ感じでOKです。2回目以降の追肥については、2週間毎に追肥を繰り返してください。
1回の追肥で必要な肥料の量は、土1ℓにつき1gです。但し、容器のサイズによって肥料の量は変動しますので、容器の大きさから判断するようにしましょう。液体肥料を与えたい場合には、規定量を薄めたものを、1週間に1回を目安として、水やりの代わりに与えるようにしてください。
追肥を初めて行う時期は、苗を植え付けて根付いたのを確認してから、7日~10日程度経過した頃が目安となります。
ナスは良い用土で栽培してあげると、生育が順調になり、実の品質も良くなりますので美味しいナスになります。ナスを育てる土は、地植え栽培と鉢やプランターなどの容器栽培では異なります。
地植え栽培の場合には、苗を植え付ける約2週間前には土作りを行うようにします。約30cm程度まで深く土を耕してから、堆肥を入れ込みます。堆肥はできればその地方の堆肥を使うのがおすすめです。
また、ナスは酸性の土壌には弱い性質があるのですが、日本の土はどちらかというと酸性寄りとなっています。そのため、苦土石灰を使って中和させるようにします。
堆肥だけでは肥料食いといわれるナスには不十分ですので、化学肥料も全体的に施すようにします。
鉢植え栽培の場合には、園芸店やホームセンターなどで販売されている野菜専用の培養土を利用すると楽で便利です。もし培養土に苦土石灰が入っていないときには、苦土石灰も入れるようにしましょう。
底面に鉢底土や軽石などを入れて、排水性を良くするようにしてあげてください。
土を自作する場合には、「赤玉土7:バーミキュライト1:腐葉土2」の割合で配合してつくりましょう。
初心者でナスを種から育てるのは大変ですので、苗を購入して植え付ける方がおすすめです。
ナスの栽培は、地植えよりも鉢植えの方が管理も簡単です。
プランターに苗を植え付けるときには、底石用で売られている軽石をネットの中に入れてから軽く水洗いします。そのあとで、軽石をプランターの底に薄めに敷きます。その上に土をプランターの約8分目程まで入れます。
スコップを使って苗と同じくらいのサイズの穴を掘ります。そこに苗を土が付いたままでOKですので優しく丁寧に植え付けます。このときに、深めではなく浅めに植えるようにするのがコツです。
植え付けたら土を数cmほど軽くかけたあと、底から水が出てくるくらいに十分な水を与えます。植え付け時期は、4月下旬~5月上旬頃が適期です。
ナスの栽培では、植え替え作業は特に必要ありません。
ナスの苗がある程度成長したら、倒れないように支柱を立て、紐でくくってあげると良いでしょう。わき芽(枝分かれする茎の付け根に生えてくる芽)を放置しておくと、実の栄養が奪われてしまうため、見つけたら不要な分は定期的に取り除いてください。
ナスを美味しく育てるには、仕立て作業が大切です。ナスの一番花が咲き始めたら、一番花すぐ下のわき芽を2つ残して、それ意外はすべて取り除きましょう。わき芽が成長し、主枝と側枝2本の3本仕立てになればOKです。
その3本の枝を支えるため、支柱を2本足し、3本の支柱で苗を支えていきます。新たに足す2本の支柱は、クロスさせると安定します。
ナスの苗を支柱に誘引するときは、苗を傷つけないように節のところで紐を結びます。苗と支柱を八の字状に紐でくくり、支柱側で結びましょう。
ナスの苗がまだ成長していないうちに実がなった場合は、苗の成長に必要な養分を使ってしまうため、もったいないですが摘み取っておく方が良いです。
夏にナスをたくさん収穫すると、秋には株が弱っていってしまいます。秋に良いナスを収穫するには、更新剪定と呼ばれる作業が大切です。
剪定時期は、ナスの最盛期である7月下旬から8月上旬頃がが目安です。元気なわきめも含め、それぞれの枝を半分程度に剪定します。さらに根元から30cmほど先の根をスコップなどで切り落とすと、より苗の成長が促進されます。
このとき、切り戻した苗から新しく生えてくる下の葉は、摘み取らないようにしてください。
ナスの栽培に適する生育温度は、30℃前後で高めです。また、ナスを地植えしている場合は、土の乾燥を防ぐためにも、マルチングをしておくと良いでしょう。
ナスは、土が多湿に傾くと病気にかかりやすくなります。
ナスのかかりやすい病気には、青枯病やうどん粉病、褐色腐敗病など、多くの病気があります。株(葉や枝)が枯れたり、カビが発生したりして腐敗してしまいます。いずれも初期の段階で、薬剤などを撒いて対処しましょう。
また、ナスによく発生する害虫は、テントウムシダマシやハダニ、アブラムシなどがよく知られています。
粘着棒を使ったり、薬剤を用いて駆除しましょう。葉の表面だけではく、葉の裏面にも水を掛けてあげるようにすると、害虫であるアブラムシやハダニの発生をある程度抑えることができます。また、霧吹きなどを使って葉水するのも予防になります。
ナスの収穫時期は6月~10月上旬頃までとなっていて、長い期間に渡って収穫ができるのが特徴です。
収穫するタイミングですが、ナスの花が咲いてから20日~25日程度経過したのが目安となります。ただし、ナスが成長し過ぎてしまうと、株には負担となりますので、早めの収穫を心がけましょう。実を傷つけないように、ハサミを使って収穫してください。
ナスの種類は日本だけでも180種類ほどがあります。一般的によく知られている品種には、「長ナス・千両なす(中長ナス)・大長ナス・コナス・米ナス・丸ナス・白ナス・青ナス(緑ナス)」などがあります。
また各地の特産や伝統野菜となっている品種もあり、名前がよく知られているものには、大阪の水ナスや京都の賀茂ナスや京山科ナス、滋賀の高月丸ナスなどがあります。
また海外のナスも最近では日本のスーパーなどでも見かけるようになってきましたが、代表的なものとしては、イタリアのナスである「ゼブラ・ディグリナ・カプリス・ローザビアンカ」などがあります。
ナスは、葉の脇の部分に下向きに、淡い紫色をした花をつけます。ナスの花の開花時期は6月~10月頃となっています。ナスの生育の良し悪しは、花の形態に顕著に現れます。
ナスの花の雌しべと雄しべの長さにより、「長花柱花(雌しべ>雄しべ)・中花柱花(雌しべ=雄しべ)・短花柱花(雌しべ<雄しべ)」というように3タイプがあって、自分が育てているナスの花が、それのどれになっているのかを調べます。
生育状態が良い順に、長花柱花→中花柱花→短花柱花となっています。特に短花柱花がある株では、日照不足や栄養場が悪いことが原因ですので、実の付き方も良くありません。花の様子が、ナスの栽培ポイントにもなるので参考にしてみてください。
ナスの花言葉には、「真実」、「つつましい幸福」、「よい語らい」、「優美」、「希望」があります。
夏の野菜ではありますが、今では一年中手に入れることができるナスの育て方についてご紹介してきました。
ナスは炒め物や煮物や漬物など、色々な料理に使える万能野菜です。優れた栄養価も含まれていて身体にも良いです。
スーパーで買うだけでなく、苗も手に入れやすいのでぜひ一度、自分で頑張って育てて収穫したナスで、美味しい料理をつくってみてはどうでしょうか?その味はきっと格別に感じるはずです。
takenaka