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ズッキーニは、アメリカ南部、またはメキシコ原産のペポカボチャの一種で、つるが伸びないカボチャです。夏野菜として、近年日本でも一般家庭で料理に広く利用され、家庭菜園でも栽培されるようになりました。そんなズッキーニの育て方から収穫、保存方法に至るまでを詳しくご紹介します。
ズッキーニは南米原産の植物であるので、適度な日当たりの良さを好みます。午前中だけ日が当たる、半日陰でも栽培可能です。
ただし、西日しか当たらないところでは光合成が少なく水の蒸発が進むので、あまりおすすめできません。ズッキーニは根を浅くはるという特性から乾燥に弱いのです。
日光が強すぎる場合は、マルチングや敷わらをおすすめします。マルチングをすることで、土が乾き過ぎないようにするほか、泥はねも防ぐことができます。
ズッキーニは連作障害もあまりないことから、土壌を選ばないといわれています。
ただし、ズッキーニの発芽適温は日中で25℃(夜間は20℃)で、生育温度は18〜23℃と、温暖な気候を好みます。発芽後も寒さに弱い傾向があるので、最低でも18度を保てるような場所が良いでしょう。
また、蔓なしのカボチャ属であるため、栽培時に広い土地は必要ありません。しかし、茎が長くなり最終的には人の身長くらいに育つこともあります。最低でも1平方メートルの栽培スペースを確保したいところです。
畝をつくる場合は、根が浅くはるので畝の高さ15センチ程あれば十分です。畝にマルチングや藁を敷くと地熱が上がり生育がよくなります。低温、短日条件で雌花が多くなり、高温、長日条件で雄花が多くなることも念頭に入れて置き場を考えるのも良いでしょう。
ズッキーニは、弱酸性から中性で水はけの良い土を好みます。購入した土以外には、1平方メートルあたり100グラムの石灰を混ぜます。
よって、ズッキーニを地植えする場合は、石灰を植え付けの二週間前に混ぜておきます。さらに、一週間後に堆肥や肥料を土に混ぜておきます。肥料は野菜用肥料で構いません。
有機石灰や有機肥料を使用するのであれば、植え付け当日に混ぜ込んでも問題ありません。その場合は有機石灰をまいてから有機肥料を投入しましょう。
ズッキーニをプランター栽培する場合は、赤玉土7に対し、腐葉土2、バーミキュライト1の土にしておくと良いでしょう。この場合も植え付けの二週間前に、石灰を混ぜて寝かせておきます。
連作障害が起きにくいといわれているズッキーニですが、念のため同じ土で1年は栽培しない方が無難でしょう。
ズッキーニの苗を植え付ける前に、しっかり肥料を含んだ用土作りをしておきましょう。土に十分な栄養がある状態で、植え付けを開始します。
ズッキーニは収穫期間が約二ヶ月続くため、肥料を絶やさないことが重要です。もし肥料が足りなくなると、収穫量も減ってしまいます。植え付けのひと月後に1回と、収穫が始まってからは20日ごとを目安に、粒状肥料を株元に追肥します。
ズッキーニの種まきは、3月中旬から5月中旬が適期です。ズッキーニはの種の発芽適温は25〜30度となっていて、10度を下回ると発芽しません。そのため、暖かくなってから種まきしましょう。
種まき方法は以下の通りです。
ズッキーニの栽培は種まきから育てることも可能ですが、購入した苗を植え付ける方が簡単なので、初心者の方にはこちらがおすすめです。
良い苗の選び方ポイントは、「子葉がしっかりついていること」、「本葉が3〜4枚ついた大きさで、茎の節間が短く茎がしっかりしているものであること」です。
古い苗は色が薄くなっていて、ハダニがついていることもあるので、必ず良い苗を選ぶようにしましょう。
ズッキーニの植え付け時期は、関東地方であれば5月の連休が好ましいです。温暖地では4月下旬から5月上旬、冷涼地では5月下旬から6月下旬に植え付けましょう。
なお、ズッキーニは2株以上で育てた方が良いといわれています。
ズッキーニを地植え栽培する場合は、最低でも1平方メートルの土壌があった方が好ましいです。
株元が地表ぎりぎりのラインになるように浅植えにするのがポイントです。
なお、あらかじめ苗ポットごと水につけて、吸水させておくとよいでしょう。地植えでは株間は70センチほどあけておいてください。
ズッキーニを鉢植えもしくはプランターで栽培する場合は、10号以上の植木鉢か、幅60センチほどのプランターに1苗植えつけると育てやすいです。
ズッキーニは根を浅いところにはるため、乾燥しやすい野菜です。乾燥すると枯れるほか、うどんこ病にかかりやすくなります。
植え付けの際は、苗ポットをあらかじめ水につけておいてから植え付けるなどの工夫が必要です。植え付け直後はたっぷり水を与えてください。植え付けから二週間は土が乾かないように水やりをします。
その後は土の表面が乾いてきたら水をやるようにします。特に真夏は乾燥しやすいので、朝と夕方2回水を与えた方がいいでしょう。マルチングや敷わらをすると、乾燥を防ぐのに効果的とされています。
霜がかかるとズッキーニは腐り始めます。温暖な気候の土地では、植え付けを遅らせて秋収穫をすることもできます。
しかし、基本は春植え、夏収穫の野菜です。そのため、冬の寒くなった時期には育ちません。
ズッキーニはつるなしカボチャですが、代わりに茎が長く育ちます。
放っておくと生育途中から倒れて地面を這って育ってしまうため、「支柱」を立てて、茎を横向きに誘引します。こうすることで日光が葉に当たりやすくなり成長を促すことができます。
また、必要に応じて古い葉を除去する「整枝」を行います。
そして、6月頃になって雌花が咲いたら、「人工授粉」をさせます。
花のガクの下を見て、膨らみがあるものが雌花、ないものが雄花です。ズッキーニは雌花と雄花が離れて咲くため、人工授粉を行った方が確実に収穫につながります(方法については下記参照)。
ズッキーニの花が咲いたら、4〜5日ほどで収穫となります。
ズッキーニの収穫時期は、7月から8月の夏頃です。5月上旬頃に植え付けすると、7月から8月頃収穫時期に入ります。
実の長さが20センチほどになったら、清潔なハサミを使って切り取って収穫します。先細りした実は未受粉の実ですから、病気が蔓延する前にハサミで切って処分しておきましょう。
また、ズッキーニの実ができた状態で収穫せずに放っておくと、ほかの実が育たなかったり、株に負担がかかったりします。
特にズッキーニの果実の肥大が早いので、収穫時期には十分注意し収穫の大きさに育ったら早めに収穫しましょう。
ズッキーニは「人工授粉」で増やすことができます。
ズッキーニは株元の節ごとに雌花が咲きます。雄花から離れて咲くため、昆虫や風などの自然の力によって受粉することは難しいです。受粉がうまく行われないと、実が均一に肥大せずに先細りした果実になってしまいます。
良い実を多く取るためにも、どんどん人工授粉にチャレンジしましょう。
ズッキーニの雌花が咲く時間は早朝になるため、遅くても9時までに作業を終わらせるようにします。晴れた日を選んでください。
人工授粉の方法は、まず雄花から花粉をとります(筆や綿棒を使ってするとやりやすいです)。また、雄花をとって直接雌花につける方法もあります。雄花の花粉を雌花の柱頭にこすりつけて受粉させます。これで完了です。
ズッキーニの栽培で特に注意する病気は、前述にもあるうどんこ病です。葉や茎にうどん粉を振りかけたような見た目をしています。涼しく湿度が低いと繁殖しやすくなります。
春から秋にかけて発生しやすく、風通しが悪いところでは多発します。雨が続くようなときには発生が少なくなります。予防としては、適宜水をやること、日当たりを良くすることです。
風通しよくするために、収穫する実の下3節より下にある葉をすべて摘み取ります。これを整枝といいます。発生してしまったときは、病気にかかった部分を切り取って、薬剤を散布します。株全体に広がったときは、土から引き抜き焼却処分します。
もうひとつの注意すべきはアブラムシです。アブラムシは新芽や葉裏に寄生して、栄養分を吸い取ります。春と秋の時期に目立ち、夏の暑さには弱いです。
過剰な肥料投入や窒素成分を野菜に与えることで、葉で合成されたアミノ酸に集まります。正しい量の肥料を心がけましょう。もし発生した場合は、多くの薬剤が効きます。
収穫間際のときは、食品成分を使用した薬剤をスプレーして防除します。そのほか、なんぷ病やウリハムシにも注意が必要です。
収穫したズッキーニは乾燥や低温に弱いので、そのまま冷蔵保存をすると鮮度が落ちやすくなります。
新聞紙で包んでから冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。スライスして冷凍保存も可能ですが、食感が柔らかくなります。
ズッキーニの栄養素には、カリウムやビタミンC、βカロチン、ビタミンAなどがあります。
カリウムは心臓機能を調整し、ナトリウムを排出する働きをするため高血圧に効果があります。ビタミンCは風邪予防や疲労回復効果が期待できます。
βカロチンは代謝を促すのでアンチエイジング効果があります。ビタミンAは視力維持、乾燥肌の予防、免疫力アップに役立ちます。
ビタミンAは、βカロチンと一緒に摂取するほうが好ましいと考えられています。また油を加えることで吸収率が上がります。
例えばズッキーニをオリーブオイルで炒めるといった調理法で、ビタミンAの吸収率が上げるのもいいですね。
ズッキーニは近年、家庭菜園に取り入れられた夏野菜です。
温暖な気候を好みますが、適宜水やりをし、日当たり、風通しに気をつければ家庭菜園でも難しくありません。人工授粉をすることで確実な着果を促すので、ぜひ挑戦してください。
また、ズッキーニの花も実が小さい内に収穫し、天ぷらなどして食べられますよ。
GreenSnap編集部