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キンモクセイは庭木として人気の樹木ですが、放置しておくとどんどん生長して大きくなりすぎてしまいます。家庭で管理できる大きさのまま育てるには定期的に剪定が必要です。
今回は、キンモクセイの剪定について、時期や方法、切る枝の種類、ポイントなどを詳しくご紹介します。
キンモクセイは常緑小高木に分類される樹木です。9月~10月頃にオレンジ色の小さな花を咲かせ、庭木として全国で親しまれています。甘い香りが特徴で、ジンチョウゲ、クチナシと並ぶ三大香木のひとつでもあります。
キンモクセイは根元近くから枝分かれし、よく分岐していくのが特徴です。刈り込みにも強く、いろんな樹形で楽しんだり、生け垣のように仕立てることもできます。
キンモクセイは樹高が約5~10mにまで伸びる小高木です。放っておくと大きくなりすぎて庭木としては管理しづらい高さにまで成長するため、定期的に剪定をして好みの樹形に仕立てましょう。
キンモクセイは剪定することで風通しがよくなり、株の健康が促されて花付きがよくなります。その他、不要枝を取り除くことで養分が樹木に集中して元気に生長します。
キンモクセイの剪定には大きく分けて3つの方法があります。剪定をする前に、次の3つの剪定方法について理解して、キンモクセイの樹形や株の状態を見ながら作業しましょう。
刈り込みとは、高さや幅、形を整えるために、枝葉を刈り込みバサミで切りそろえる作業のことです。刈り込みをすると見た目が整うほか、新芽がそろって葉が密集しやすくなります。
なお、刈り込みは厳密にいうと剪定とは違い、見た目を整えるためにやる作業なので、必ずしも必要というわけではありません。
間引き剪定とは、不要枝を根元から剪定して二度と生えなくさせるためにする作業です。風通しをよくしたり、適切に養分を供給できるようになるので、株の健康につながります。枝が少なくなることで光合成が活発に行われ、生長しやすくなります。
1年に1回は必ず作業して、株の健康を保つようにしましょう。
切り戻し剪定とは、枝を脇枝の上まで切り戻して、それぞれの枝の成長具合をコントロールし、樹形を根本から整えるための作業です。
2〜3年に1度は「強剪定」をして、高さや大きさを調整しましょう。
キンモクセイの剪定をする時期は、春の3月~4月ごろです。
キンモクセイは夏に花芽を形成して秋に開花、そして冬に翌年の栄養を貯めるというサイクルで成長していきます。そのため、夏に剪定をしてしまうと、花が咲かなくなってしまうので気をつけましょう。
なお、枯れ枝などが目立つようであれば花後から冬でも剪定できます。ただしキンモクセイは耐寒性が低いので、冬の間は負担の大きい切り戻し剪定(強剪定)は避け、刈り込みか間引き剪定のみ作業しましょう。
一番理想的なのは、毎年春に間引き剪定と刈り込みをし、3〜4年に1度春に切り戻し剪定するといったペースです。
キンモクセイを剪定するときは、次の道具を用意しておきましょう。
剪定バサミは細かい枝を切る時に使用し、樹木の外側を整える場合は刈り込みバサミを用います。剪定ノコギリは、太い枝を剪定する時に使用します。その他、ハサミには植木バサミや高枝切りバサミなどの種類があるので、用途によって使い分けましょう。
間引き剪定は剪定バサミや剪定ノコギリを使って、株の内側から切っていきます。間引き剪定は「枝透かし」や「枝抜き剪定」と呼ばれることもあります。
間引き剪定は不要な枝を二度と生やさないようにする剪定なので、必ず根元から切り落としてください。節や成長点を残して中途半端に切ってしまうと、再び勢いの強い枝が伸びてきてしまうので注意しましょう。
そのほか、風通しを悪くしていると思われる枝などは剪定していきましょう。名前のとおり、間引きする感覚で、伸ばしたい枝だけ残すように根元から剪定します。
キンモクセイの刈り込みは必ずしも必要というわけではありませんが、枝葉がそろっているとより美しい見た目で楽しめます。
刈り込みをするときは、間引き剪定を終えて不要な枝を取り除いてから作業しましょう。刈り込みは感覚でやると面がガタガタになり不恰好になります。刈り込みバサミをつかって下記の手順で進めると、きれいに仕上がりやすくなりますよ。
刈り込みする深さは、枝は先端の2~3節程度にしておきましょう。そうすることで、4月以降に花芽が付きやすくなります。
刈り込みバサミを使うときは、必ず片側の刃だけを動かすようにしましょう。たとえば右利きであれば左手は動かさず、右手だけを上下させて切っていきます。こうすることでぶれることなく、美しく水平に仕立てられます。
また、刈り込みバサミには表と裏があり、刃の反りが手前側に向くように使う表使いでは、直線的な面をつくるのに向いています。反対の裏使いでは丸みのある面をつくるのに向いています。
切り戻し剪定では、基本的に「勢いの強い枝を切って脇枝を伸ばさせる」というイメージを持ちましょう。脇枝を確認しながら枝を途中できることで、他の枝との勢いのバランスをとっていきます。脇枝とはやや太めの枝の途中から分岐して生える新芽のようなものです。
樹形のバランスを整えるときは、樹形を乱す勢いの強い枝を樹形の輪郭の内部まで辿って、脇枝の上で切っていきましょう。あまり浅い位置で切ると翌年すぐに乱れてしまいます。
残した脇枝は3分の1程度切り戻しておくと、刺激されてよく伸びていきます。こうして樹形の内部の枝がよく伸びていくと、さらにコンパクトに仕立てることもできるようになりますよ。
キンモクセイの樹高を抑えたい場合は、中心となる枝(主枝)を剪定ノコギリで切り戻していきます。このとき、枝分かれした部分の少し上で切ると、剪定後、枝分かれした枝がよく伸びていきます。
キンモクセイは刈り込みに強く、いろいろな樹形で楽しむことができる樹木です。キンモクセイの剪定をするときは、理想の樹形をイメージしながら作業していきましょう。
キンモクセイによくある樹形は下記のとおりです。
樹木を剪定した後は、枝の切り口に癒合剤を塗ることで防腐効果や防水効果があります。特に太い枝を剪定した時には、回復を早めるためにも癒合剤を塗ることをおすすめします。
剪定後に花付きが悪い場合は、不要枝が剪定されているかもう一度確認しましょう。とくに強く上の方に伸びている枝は切り落とし、枝が横に伸びるようにすることで枝数が増えて花付きも良くなります。
キンモクセイの剪定は、正しい時期に行うことが大切です。樹木の外側と内側で剪定方法も異なり、外側の場合は樹木全体が丸い印象になるように剪定していきます。内側であれば不要枝を剪定し、風通しを良くしていきます。秋の時期の花付きを観察して、毎年手入れしていくことでキレイな樹形を維持出来ます。
小高木のキンモクセイは剪定が難しいと思われる方もいると思いますが、ポイントを押さえれば決して難しくありません。限られたスペースのお庭などで育てると、定期的な剪定作業は必要になります。
自分で剪定する時は、公園や里山など植木屋さんが剪定された樹木を参考にすると良いでしょう。剪定に自信がないという方は、業者に依頼して剪定してもらうこともできます。
秋の時期に綺麗なキンモクセイの花を観賞するためにも、適切な時期に剪定してぜひともキンモクセイの花を楽しみましょう。
GreenSnap編集部