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東南アジアをはじめとした、世界の熱帯エリアに多く見られるアスプレニウムは、世界に700種くらいあるといわれています。シダ植物の仲間で、日本にも九州や沖縄などの暖かい地域を中心に、30種程度が自生しています。
つやつやと光沢のある明るい緑色の大きな葉っぱを、放射状に広げた姿が印象的です。アスプレニウムは、暑さには強いものの寒さに弱いため、基本的には室内用グリーンとして楽しみます。
そんなアスプレニウムの育て方を説明します。
アスプレニウムは明るい日陰を好むので、室内のレースのカーテン越しなど、半日蔭に置くのが一般的です。ただし、6月から9月頃までの夏の間は、50%程度遮光したベランダなどの戸外に置いても大丈夫です。
とはいえ、直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまいますので、直射日光は避けなければいけません。
アスプレニウムには、土が乾いたところでたっぷりと水やりをします。ただし根腐れを起こしやすい植物ですので、水をやりすぎて過湿にならないよう注意が必要です。
冬は耐寒性を高めるため、2日か3日くらい乾燥したままにしておいてから、水やりをすることをおすすめします。
アスプレニウムには、4月から9月頃に肥料を与えます。2ヶ月に1回程度、緩効性化成肥料を置き肥してもいいですし、もしくは液体肥料を10日に1回程度与える方法でもいいです。
アスプレニウムを育てるときは、水はけのよい腐植質の土を用いましょう。
赤玉土6:腐葉土4の混合土や、市販の観葉植物用の土で育てればOKです。水はけが悪いようなら赤玉土7:腐葉土2:パーライト1の混合土にして、深めに植えるとよいでしょう。
アスプレニウムは根詰まりしやすいので、2年に1回程度の植え替えが必要です。枯れた葉っぱを切り落として鉢から抜いて、古土を3分の1から半分くらいふるい落とします。
植え替えるときはひと回り大きな鉢を選んで、鉢の半分くらいまで用土を入れ、根元までしっかりと植え付けましょう。植え替え時期は5月から9月頃が適期です。
アスプレニウムの増やし方は、品種によって異なります。
子株ができるアスプレニウム・マザーファンやアスプレニウム・ケンゾイといった品種であれば、子株を摘み取って株分けをすることが可能です。株分けには、5月から9月頃が適しています。
パーミキュライトとパーライト同量の混合土に水ごけを混ぜたものを鉢に入れたら、子株を植え付けます。そして、鉢はビニール袋で覆います。その後明るい日陰に置いておくと、2ヶ月から3カ月程度で発根し、鉢上げできます。
アスプレニウムは、下葉が枯れてきても葉が落ちるということがありません。そのため、枯れた葉っぱは早めに根元の方から切り取ってください。
また、害虫のハダニを予防するためにも、こまめな葉水を心がけましょう。
アスプレニウムは、害虫に弱い方なので注意をしましょう。
新芽の頃にナメクジの食害に遭うと、葉っぱが変形してしまいます。ナメクジは鉢の裏側や根のかたまりの辺りに潜んでいますので、みつけたらすぐに取り除いてください。ナメクジ専用の殺虫剤もあります。
また、ほかに発生しやすいのは、葉っぱの汁を吸い取って弱らせてしまうカイガラムシやハダニです。風通しが悪いと発生しやすいといえます。みつけたらすぐに殺虫剤を散布して駆除してください。
カイガラムシは、殺虫剤がうまく効かないこともありますので、歯ブラシなどでこすり落としてしまってもいいです。ハダニは水に弱い性質がありますので、水をかけるだけでも落とすことが可能です。定期的に霧吹きで葉っぱに水をかけるようにすると、予防にもなります。
アスプレニウムを購入するときには、害虫が付いていないかしっかりチェックし、害虫の付いていないものを選んで購入するようにしましょう。
アスプレニウムは、世界中に700種もあると言われていますが、ここでは人気の品種を中心に、いくつかピックアップしてご紹介します。日本生まれの品種もありますよ。
アスプレニウムの中でも最もよく出回っているのが、「アスプレニウム・アビス」です。アスプレニウム・アビスは、シマオオタニワタリの園芸品種といわれていますが、葉っぱに縞(シマ)はなく、光沢のある幅広で短めの葉が特徴的です。インテリアにおしゃれに溶け込んでくれるので、とても人気のある品種です。
こちらは、あざやかなグリーンのウェーブした葉っぱが特徴的な、その名も「アスプレニウム・エメラルドウェーブ」という品種です。ヨーロッパやアメリカでは「クリスピーウェーブ」と呼ばれていて、世界中で人気があります。
そんなエメラルドウェーブですが、なんと日本生まれ!ドイツのIPM(国際園芸見本市)で最優秀賞を受賞したこともあるすばらしい品種です。
こちらの「アスプレニウム・クロコダイルファーン」は、葉っぱの模様がユニークで、その名のとおりクロコダイルの皮のような模様が特徴的な品種です。ツヤがあって見栄えもしますね。
こちらの、まるで野菜のようなかわいらしい姿をしたアスプレニウムは、熱帯アメリカ原産の「アスプレニウム・レズリー」という品種です。レタスみたいだなぁと思って実際に触ってみると、葉っぱが意外に堅めなことに驚きます。
ユニークな形の葉っぱの先にランナーが伸びている、こちらのアスプレニウムは、「アスプレニウム・ケンゾイ」という熱帯アジア原産の品種です。ランナーの先に小さな子株を付け、この子株によって増えていきます。
アスプレニウムは花を咲かせないシダ植物の仲間ですが、厳しい環境の場所にも生えるアスプレニウムの特性から、「雄々しい」「勇ましい」といった花言葉を持ちます。
また、そんなアスプレニウムを見つけたときの嬉しい心情から来たとされる、「あなたは私の喜び」「真実の慰み」という花言葉もあります。
さらに、アスプレニウムそれぞれの品種が持っている花言葉には、アスプレニウム・アビスの「活発」、アスプレニウム・エメラルドウェーブの「進歩」などがあります。
今回は、熱帯エリア原産のシダ植物の仲間、アスプレニウムの育て方についてご紹介しました。
アスプレニウムにはさまざまな品種がありますが、いずれも半日蔭で乾燥気味でも育ちますので、比較的育てやすい観葉植物だといえます。
実際自生しているアスプレニウムについては、岩や板に張り付いているものもあるくらいですから、かなりたくましいです。
インテリアにも自然と溶け込むおしゃれな品種がたくさんありますので、室内グリーンを楽しみたいと思っている初心者の方にもおすすめです。
Photo by fishormeatさん@GreenSnap
GreenSnap編集部